共に歌ふはうたたねの夢



【金の糸月の明かりに輝かば花衣はなのころもも霞むべく見ゆ】


【後の※1は鳥にならばや笛の音と共に歌ふはうたたねの夢】


【うたたねの夢に迷はばもろともに飽くまで行かむ※2翼のゆくへ】




金糸のようなあなたの髪が月の光で輝くと、美しい衣も当然霞んで見えることでしょうね。


生まれ変わったら鳥になりたいものです。笛の音と共に歌うなんて所詮儚い夢ですが、鳥になってそれを叶える夢を見ましたので。


うたたねの夢に迷うなら一緒に飽きるまで行きましょう、仲睦まじい将来へと。




※1【世】

依夜は、「後の世」として来世の意味で詠んでいるが、【世】は男女の仲、夫婦の仲という意味も持つ言葉。


※2【比翼】

比翼の鳥。必ず雌雄が寄り添って飛ぶ空想上の鳥。夫婦仲が睦まじいことの例え。生成は【世】を夫婦の仲と捉え直し、比翼(の鳥)と詠んだ。


生成の歌と合わせると、依夜の詠んだ歌は「将来の夫婦の仲は仲睦まじくなりたいものです。仲睦まじくなって笛の音と共に歌ううたたねの夢を見ましたので」と周りは解釈出来る。鳥=比翼の鳥。



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