図鑑形式の作品で、古くは「鼻行類」「アフターマン」といった著作の系譜にあたる本作は幻の生物の記録書となっている。短編というボリューム感が、あわよくばもっと長尺の作品として読んでみたい気分を誘う。それでもセンスオブワンダーに溢れた野心的な作品。
発見された幻生生物の報告書。淡々と続く堅苦しい文書がとても良い味を出している。生物の類稀な特徴が細部まで描かれており、普通の生き物との違いや生活環の謎が妖しく美しく見えた。人間が居ること前提の彼ら、一体何が目的なのか……