part Aki 12/24 pm 4:23



 


「……アキ。『ボク』なんだ?」



 みんな 動揺する中 はるな 1人 平静な声。そして 本質的な質問。



「あー まぁ そうです」


「じゃあ 女の子同士でも 無いんでしょ? それとさぁ……アンタ 夏に 麟太郎さんフッたでしょ? 『ボク』なんだったら しょうがなかったんだろうけど…。たぶん 大好きなお兄ちゃんが 女に負けたって思ったから ショックだったのよ…。菜摘 ブラコンだしさ」



 ボクにとっては ホント どーでもいい事件だったから 忘れてたけど そーいや そんなこともあったな…。夏休み なっちゃんとお兄さんの麟太郎さん それに ボクとこーちゃんの4人で『アクア・プラテネス』に行った。そのとき 麟太郎さんに『付き合わないか』的なこと言われたんだった。まぁ ボクにとっては よくあることだし 後腐れなくスッパリ断ったんだけど…。その後 文化祭にこーちゃんと2人で来てたときも 少し話したけど 未練がましい感じとかなかったと思うんだけどな…。まぁ 麟太郎さんがどーこーってゆーよりは なっちゃんの納得がいかないってハナシなんだと思うけど。



「……あのぉ なっちゃんは 怒ってたけど ワタシは 2人のこと 応援してます。2人の雰囲気って とってもsteadyだし。なっちゃん あきちゃんのこと 大好きだから 落ち着いたら きっと わかってくれると思うから」



 美優姉が 慰めてくれる。そう。なっちゃんは ボクの親友。中学時代 壁を作って 誰とも親しくなれなかったボクの 壁の内側に グイグイ入ってきて 今日の5人に引き合わせてくれたのは なっちゃん。ボクが男だってことは 秘密だったけど 誰よりも話したし 一緒に苦労した仲間。やっぱり なっちゃんには ボクが男だってことを ちゃんと伝えなきゃいけない気がする。ボクが瞳を好きなのは〈女同士〉じゃないって わかって欲しい。それでも変だって言われるかも 知れないけど。



「うん。美優姉 ありがとです。機会見つけて 話してみます」


 

 なんとなく はるな は 気がついてるみたいだけど やっぱり なっちゃんに 一番に打ち明けなきゃなんない気がする。たとえ どんな結果になるにしても……。そんなことを思いながら もう一度 瞳の手をぎゅっと握る。



「まー 女同士でも 男同士でも 姉弟でも 本人同士が 納得なら 周りが どーこーゆー話じゃないと思うけどねー。ねぇ? はるな?」


「……だから 何で アタシに振るワケ?」


 

 サクヤと はるな がいつものように 言い合いを始めて 場の空気が緩む。2人とも ホント 賢いからな。ワザとなんだろうな…。……いや。はるな 顔 真っ赤にして怒ってる。マジ喧嘩かも…。瞳は ビックリしてるみたいだけど 美優姉は 気にせず 話を続ける。



「あきは 瞳さんの どんなところが好き?」


「全部」



 即答で返す。ホントに 全部好き。見た目も性格も 全部。



「うっわー。男前な答え。カッコいー」


「……アキ アンタ ちょっと 性格 変わった? それとも それが素なの?」



 ボクの答えに ケンカしてた2人も 乗っかってくる。2人とも ちょっと ビックリしたみたい。確かに〈あき〉らしくない答えかも…。それに〈ボク〉らしくもないかも。でも 今のボクの正直な気持ちだ。瞳のどこが好きかって言われたら『全部』。一点の曇りも無い。



「亜樹って 学校で どんな感じなんですか?」



 はるなの 話に反応して 瞳が質問する。学校でのボクって みんなに どー思われてるんだろう? ボク的にも 気になると言えば気になるハナシ。



「……基本 おとなしくて控えめ」


「でも 語るときは 語るよー?」


「それは あるわね。化粧のハナシ 長いよね」


「みんなの make upの先生です」


「カラオケ魔人。なんかあったら すぐカラオケ行こーってなるよね」


「……で 行ったら マイク放さないの」


「すごく上手ですけど。あと 授業中 よく sketchしてます」


「あー そーだった そーだった。中学んときも やってたよー。アレって 黒髪 ショートの娘ばっか スケッチしてんだよねー」



 ……げっ。そんなことまで 見られてたのか…。



「あと ハグとか 手を繋ぐのとか 嫌がるってゆーのも あったね。……好きな人としかしないって 決めてたんだ?」



 サクヤの問いかけに 小さく頷く。まぁ そんなことしちゃうと 好きになっちゃいそうってゆーのもあったんだけど……。



「瞳さんと 手 繋いでるの見て ちょっとビックリしました」


「男の話 しないから もしかしたら女の子 好きなのかなー? とは 思ってたけどねー」


「……そうなの? アンタが エロ話してるとき 聞き耳 立ててるから 意外と興味あんのね…とは 思ってたけど アタシは 女の子が好きとは 思ってなかったわね」



 ……いや。だって。あんな話されたら どーしたって 気になるじゃん。ボクは 健全な男子高校生なワケだし…。



「……あの お話 聞けて ちょっと安心しました。亜樹 女子校に通ってるから 周りの女の子に ちょっかいかけたり イチャイチャしてたら嫌だなぁって 心配してたんです…」



 ……ああ。そんなこと心配してんだ。確かに 瞳が男子校通ってたら 気が気じゃないかもだけど。でも ボク 瞳一筋だし。それに 学校じゃ ボクは 女子高生だからな…。まぁ 2人きりにならないようにとか 色々 気をつけては いるけど。その話も いつもしてるんだけどな…。



「あき なんか一途な感じだし 大丈夫だと思うよー。でも まー 一応 あたし達で 浮気してないか 見張っとくー」



 ……浮気なんてするワケないじゃん。

 絶対 大丈夫だし……。

 ………。

 ……。

 …。



                        to be continued in “part Kon 12/24 pm 4:37” 

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