part Kon 12/07 pm 4:46




 

 


 「……わかった。ちょっと話 しよ?」



 ちょっと整理しといた方がいい。

 普通のカップルだったら こんなこと話さなくても いいんだろうけど やっぱり あたし達は では ない。

 のフリして 傷ついたり 我慢したりして しんどいなんて バカバカしい。

 

 そんなとこで見栄 張ってもしょうがない。

 

 わかんないことあったら ちゃんと意志疎通できるように 話し合う。

 それは 恋人もチームも一緒のハズ。


 それが この半年 チームのキャプテンやって あたしが学んだこと。



「『話 しよ?』って 何を?」


「うーん。『Hについて』…かな? あたし 付き合うって初めてだし 周りに 亜樹みたいな性同一性障害って子と付き合ったって人も いないから 亜樹が どんなこと思ってるのか 聞いときたい。たぶん ちょっと嫌なことも聞いちゃうと思うけど できたら 正直な気持ち聞かせてくれると嬉しいかも。あたしも できるだけ 正直に話すし…」


「あー うん。わかった……」


「どうしても 答えたくないときは『言いたくない』って言ってね。ケンカしてまで 聞きたいワケじゃないし」


「うん。わかった」


 

 亜樹は 真面目な顔して こっちを見てる。

 

 ……いや。

 そんな大それた感じじゃなくて 雑談がてら いろいろ聞けたらな…くらいなんだけど。



「……真剣なのもいいんだけどさ。とりあえず ソファー座らない?」


「あー 確かに お尻 冷たいかも…」



 ちょっと 亜樹に 笑顔が戻る。

 BGM代わりに曲入れ直して 気の抜けたレモンスカッシュ飲んで 質問開始。

 亜樹も ジンジャーエールを口にしてる。

 

 

「亜樹は 男の子。これは いいよね。で 女の子のあたしが好き」


「うん」


「……あたしとセックスしてみたい?」



 セックスって 言葉を口にするのが かなり恥ずい。

 でも これは 大事なこと。

 聞いとかなきゃ。


 亜樹も なんか照れたような でも真剣な顔つきで 答えてくれる。

 


「うん。……してみたい」


「それって オチンチン 挿入れてみたいってこと?」


「……うん。たぶん そうだと思う。ついて無いんだけど 興奮するとさ 勃起してるって感覚になるんだ。妄想ってゆーか幻覚ってゆーか そんな感じでは あるんだけど。で さっきは『挿入れたい』って それだけしか考えれなくなっちゃって。……でも ついて無いから 泣いちゃった」



 亜樹は ちょっと乾いた笑い。

 少し自分の言葉に傷ついてるみたいだけど いつもの 冷静で 穏やかな亜樹。



「瞳は どう? どっから見ても 女の子のボクに 胸 触られるとか 抵抗なかった? 瞳は 男の子が好きなんでしょ?」


「んー。別に。亜樹のこと 好きだし。こないだ触ってきたし 触りたいんなら いいよって感じ」



 ちょっとウソかな。

 触って欲しかったし。

 でも 亜樹が女の子の姿ってゆーのは ホント ぜんぜん 抵抗ない。



「たぶんさ 亜樹は 自分の女の子の身体に 違和感 あるんだろうけど あたしにとってはさ 亜樹は 出会ったときから その美少女の姿だから。好きになったときも めっちゃカワイイ女の子なのに 性格 男の子っぽくってカッコいいって思ったし。カミングアウトしてくれて『ああ なるほど』って…」


「……そっか。女の子同士って思わない?」


「思わない。メッチャ男らしいもん。押し倒されたし」



 さっきのネタで イジってやると 顔 赤くして 焦ってる。

 最近は 女の子って意識することは ほとんど無い。

 まあ 確かに どこをどー見ても 女の子の姿なんだけど。



「女の子の身体なんだよね。生理とかあるの?」


「そりゃ あるよ。女の子の身体だもん」


 

 どっちかってゆーと 生理あることの方に驚く。

 女の子の身体なんだから 当たり前なんだろうけど。

 亜樹って 女の子の生々しさが ホントに希薄だからな。



「あたしに 触られるのは 嫌?」


「ううん」


「触っても いい?」


「えっ 別に いいけど…」



 隣に座る 亜樹の後ろから 右腕を伸ばし ブラウスの上から右胸に触れる。



「きゃっ!?」



 いかにも女の子ってゆー 甲高い悲鳴を上げて 亜樹は 前屈みになる。



「あっ ごめん。痛かった?」


「い 痛くは ないけど…。胸 触るって 思わなかったから…」



 亜樹は 胸元 押さえて 赤い顔してる。



「胸 触るのは ダメだった?」


「ひ 瞳は 触りたいの?」


「触りたいってゆーか…。亜樹にも 気持ちよくなって欲しいなって……。さっき 触ってもらって 気持ちよかったし。あたしも 亜樹になんかしてあげたい」



 もし亜樹についてたら 手で擦ってあげたり お口でしてあげたら 悦んでもらえるんだろうけど…。



「胸 触られるのは 嫌?」


「…そ それは ちょっと 嫌かも」


「そっか。じゃあ どうしたら 気持ちよくなれる?」



 亜樹は 真っ赤な顔して 困ってる。

 でも あたしばっか 気持ちいいのは 申し訳ないし はっきり言って 嫌。

 

 亜樹との はじめの頃の関係も そうだったけど お世話になりっぱなしで お返しできてないって 思うと あたしは しんどくなる。

 

 そーゆー状況は できれば 避けたい。

 なんか いい方法ないのかな?

  


 ………。

 ……。

 …。


             to be continued in “part Aki 12/07 pm 5:50”


 


 

 


 

 

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