part Aki 11/23 pm 5:44




 

「今日は ありがと」


「ううん。こっちこそ」



『ノエル』で4時過ぎまで 話して 駅まで歩いて電車で桜橋まで 帰ってきたら もう 5時半を回ってた。そろそろ お別れの時間。烈風伝までの 国道をゆっくり歩く。自転車 押してるから 手が繋げないのが とっても 残念。あと 今日は キスしてない。せっかくの初デート。最後は キスでお別れしたい。気持ちは 焦るけど ここは 駅前の国道沿い。人通りも車も 途切れることは ない。

 信号が変わり 瞳の家の裏に着く。いよいよホントにお別れ。でも やっぱり キスしたい。自転車を停め 瞳を暗がりに誘う。


 

「軽くね」


「うん。軽く」



 お互い 前回の失敗があるから 目を合わせたときに つい笑ってしまう。軽くって 確認しあってから 目を閉じる。哀しいかな いつものことながら 立ったままだと ボクの方からは 瞳の唇に届かない。暖かくて柔らかな感触が ボクの唇に触れる。その温もりを もっとしっかりと感じたいって思う間もなく キスは終わってしまう。



「ありがと」


「うん」



 瞳も 物足りない顔。ディープキスとまでは いかなくても もう少しゆっくり 唇の感触を味わいたかった。でも また 瞳のお母さんに見られたらややこしそうだもんな。ここは やっぱり グッと我慢。



「今日 デートコース 考えてくれて ありがと。紅葉葉楓 綺麗だったし 絵も素敵だったし ケンカもしたけど いっぱい話せたし 嬉しかった」


「こちらこそ。お弁当 美味しかった。ありがと」


「冷え冷えだったけどね。寒かったし…」


「確かに 寒かったね…。ごめん」


「ううん。笑い話になるよ……ってゆーか もう 笑い話だし」



 そう言って 瞳はケラケラ笑ってくれる。



「……でもさ 1つだけ ダメ出ししてもいい?」



 ……うげっ?

 なんか やらかしちゃったんだろうか? 瞳の眼は そんなに怒ってる感じじゃない……と思う。ボコボコにされる感じじゃないと信じたい。けど やっぱり めっちゃ緊張する。ケンカの件かな? さっきは 一応 許してくれた風のこと 言ってたと思ったんだけど……。



「やっぱさ 2人きりのデートなんだし もうちょっと キスしたかったかも。手 繋いだり 2人巻きも いいけど やっぱり キス。こないだみたいな 蕩けるキスして欲しい。恋人同士だし。次回は よろしくね?」



 そう言って笑ってくれる。確かに もっとキスしたかった。目を閉じると 瞳が もう一度 キスしてくれる。さっきよりは もう少し ゆっくりと…。唇の温もりが 心と身体に 拡がっていく。もうちょっとだけ……って 思うけど もうおしまい。瞳の唇が離れていく。



「うん。今度は もっと キスしよ」


「もう1回したいけど ここですると 絶対 ママが出てくるパターンだよね」



 そう言って片目をつむる。おどけた表情も ホントに可愛い。やっぱ 笑ってくれてるときが 一等 好きだな。



「次 ゆっくり話せるのって 期末の準備期間? 再来週くらいだよね?」



 あれ? 次のデートって 1月末ってハナシじゃあ?

 瞳的には〈学校帰りのお茶〉は デート扱いじゃないのか…。てっきり テスト前も 忙しくて会えないのかと 勘違いしてた。それなら 学校帰りにカラオケってどーだろ? 確か 藤浜の駅前に メガカラ あったハズ。



「…たぶん7日からだったと思う。もし 嫌じゃなかったら カラオケ 行こうよ? 学校帰りでも 1時間くらいなら 大丈夫だと思うし」


「カラオケか…。いいかもね」


「じゃあ また 後で 電話する」


「うん。待ってる。今日は ありがと」



 そう言い残すと 瞳は 家に入って行った。とりあえず 初デート終了。気を遣ったり ケンカしたり 寒かったりで かなり疲れた……。熱 出さないように ゆっくりお風呂で 暖まって 早めに寝よう……。

 ………。

 ……。

 …。




             to be continued in “part Aki 12/07 pm 3:47”






 

 

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