第2章 ポカポカ?初デート

part Kon 11/23 am 8:32





 卵焼きを タッパーに4つ詰める。

 ちぎったレタスの上に 茹でたブロッコリーとミニトマト。

 チーズのハム巻きをピックで留める。

 ハートのピックは ピンクと赤。


 2つ目のタッパー完成。

 彩りもなかなかキレイ。

 上出来だ。



 1つ目のタッパーには 亜樹の好きなポテトフライと唐揚げ。

 ……こっちは 冷凍食品をチンして詰めただけだけど。



 あとは おにぎりだ。

 普段なら 弁当箱にご飯詰め込んで フリカケかけて終わり。

 だけど 今日は デート。

 手作り弁当だしな。

 やっぱ おにぎりだよね。


 

 大っきな三角おにぎりをパクパク食べてくれたら 嬉しいけど 亜樹は少食。

 たぶん そうは ならない。

 小さめの 俵おにぎりにしておく方が無難。


 のり巻きにしたり フリカケご飯にしたり4種類ほど作って 3つ目のタッパーに詰める。



 タッパー3つ ナプキンで包む。

 けっこう大きい。


 これを籐のバスケットにでも 入れられたらカワイイけど もちろん そんなモノ持ってない。

 例によって 啓吾のデイバックの出番。


 なんか ちょっと大きめのトートバッグとか 欲しいかも。

 夏に亜樹が持ってたようなヤツ。



 ……おっと ゆっくりしてる時間は無い。

 着替えて お化粧しなきゃ。



 


 今日は 亜樹との初デート。


 あたし的には 菊野井かプレアデスのショッピングモール辺りで 映画 行って ハンバーガーかじって 午後は ゲーセンかウインドウショッピングみたいなのを 想像してた。

 菊野井だと 啓吾のデートと一緒のコースで ちょっと中学生っぽいから やっぱ プレアデスかな~って思ってた。



 でも 亜樹が考えてくれた デートコースは 紅葉を見ながら六ヶ杜緑地を歩いて 市立美術館ってゆー 大人っぽいコース。

 六ヶ杜緑地って行ったこと無いんだけど 紅葉葉楓モミジバフウの並木道が真っ赤に染まる光景は 毎年 ニュースになるし 星光市の観光名所の1つとして 駅のポスターなんかでもよく見かける。


 あの並木道を お揃いのエプロンドレスで 手を繋いで歩くってゆーのは 素敵。

 ちょっとロマンチックな感じがする。

 少し恥ずかしい気持ちもあるけど あたし達 恋人同士だからな…。

 そーゆーことしても許される関係のハズ。

 

 

 県立美術館も行ったことないけど 亜樹と付き合うんだったら 美術展に行く機会は これからもきっと多い。

 なんってったって 美大受験しようって人だもん。

 きっと亜樹の勉強の役に立つんだろう。


 美大受験のハナシは 正直 ビックリしてる。

 話半分に 絵描きさんじゃなくても 絵の仕事あるよねって 言ったら 突然 亜樹のやる気スイッチが入った。

 あんなに 優柔不断でタラタラしてたのに 今は ものすごい勢いで 絵の勉強してるみたい。

 

 例によってモード全開で 新しく覚えた美術のナンチャラ理論とかの話を 滔々と語るときが あるんだけど あたしには なんのことやら。

 まあ『うん うん』って頷いてあげとけば 嬉しそうにしてるし 可愛いから いいんだけどさ。


 まあ 難しいことは 亜樹に任せて あたしなりに 好きな絵 見つけたり 服作りのネタを探したりして 楽しめばいい。



 とりあえず 美術展の招待券を2枚 持ってるらしいから 入場料は タダ。

 とはいえ 亜樹に出してもらうばっかりは ヤだし 申し訳ないから お弁当を作っていくことにした。


 

 これには 2つばかり理由がある。

 1つ目は もちろん 彼女っぽいことがしたかったから。

 お弁当作っていって 彼氏に『おいしいね』って 言って欲しい。

 ベタだけど そーゆーベッタベタなのが あたしの好み。

 

 ……いいの。

 わざわざ 車道側 歩いてくれるような男の子が 好きなんだもん。



 2つ目は もっと 世知辛い。

 お昼ごはん代を 浮かしたいんだ。

 外で食べたら ハンバーガーだろうがなんだろうが 千円くらいかかる。

 お弁当だったら 家にある食材が使える。

 ってゆーか 昨日 学校用弁当の食材買うフリして ポテトフライとか買い込んだ。


 亜樹とは 何回もデートしたい。

 だからこそ 1回に使うお金は できるだけ減らしたい。

 お金なくてデートできないとか 嫌だもん。



 今日は 初デートだし ご褒美デートにしてって あたしがハードル上げちゃったから 亜樹は素敵なコース考えてくれた。

 だけど あたし的には 七海堂でお茶して 公園でイチャイチャでも ぜんぜん いい。

 

 ……いや。

 公園でイチャイチャは マズいのかな?

 あたし達 見た目 女の子同士だしな。

 ってゆーか 見た目 男の子 女の子でも 誰かに見られるのは あまり よろしくない気がする。


 人の目を気にせずイチャイチャしてみたい。

 亜樹 キス 巧かったし……。

 

 胸も触られた。

 

 もうちょっとなら Hなこと許してあげてもいい。

 ってゆーか もっとスゴいこと されてみたいけど 軽い女って思われるのは 嫌。

 やっぱ 順序ってあると思う。


 そもそも 亜樹って 心は男 身体は女。

 そーゆー感覚って どんな感じなんだろう?

 あたしとHしてみたいって思ってるんだろうか?

 

 そして あたしは どーなんだ?

 夢の中じゃ 亜樹に処女まで捧げた。

 リアル亜樹とは どんな関係になりたいんだろ?


 正直 胸 触られたのは 嫌じゃなかった。

 押し倒されてもいいって思った。

 でも 亜樹とレズってみたいのかな?


 そーゆー妄想したことあるし あたしは それでもいいのかな?

 どーなんだ?

 だけど あたし 今は 亜樹のこと 男って思ってるしな。



 例によって あたしの思考は 千々に乱れてまとまらない。

 やっぱ 亜樹の気持ちをしっかり聞いて 亜樹とゆっくり相談して 気持ちの整理をしなきゃいけない。

 きっと 亜樹なら 上手く捌いてくれるハズ。

 

 とはいえ こんなハナシ 喫茶店や公園のベンチでするワケには いかない。

 


 

 どこで 話せばいいんだ?

 

 あたしの部屋は 防音性皆無だしな。

 イチャイチャとか トンでもないし……。


 亜樹の部屋は こないだ 上がらせてもらったばっかだし。

 たまには いいけど いつもいつもはマズい。



 なんか いい方法ないもんかしら……?

 ………。

 ……。

 …。



             to be continued in “part Aki 11/23 am 9:17”


 

 

 


 

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