part Aki 11/21 pm 9:46





 夜。瞳に電話する。



「……そーなの! 明日の星光タイムスに載るんだって! あと 高バレマガジンの記者さんにも インタビューされたの!スゴくない?」



 瞳は かなり興奮気味。まぁ 小さい頃からの 夢が一つ叶ったんだもんな。無理もない。

 


「うん。スゴい。でも ずっと頑張ってきたんだし ご褒美みたいなもんだよ」


「エヘヘ。今日は みんなに褒めてもらえて 嬉しいけど やっぱ 亜樹に褒めてもらうのが 一番嬉しいかも…」

 


 ……なんか めっちゃ可愛いこと言ってくれる。ちょっと照れ臭いけど 嬉しかったりもする。付き合って1ヶ月。瞳が一番変わったなぁって思うのが 夜の電話の時間。スゴく甘えてくれるんだよね。誰にも聞かれてないってゆー安心感が そーさせるのかも。実際 朝 話すときは 周りの目もある。『瞳』『亜樹』って呼びあってはいるけど ボクの喋り方は〈あき〉。相変わらずの『です・ます』の敬体だ。瞳にしたら 電話のときくらいしか 恋人気分を味わえてないのかも…。



 「ねぇ 亜樹からも ご褒美 欲しいな」


 「えっ? ご褒美? なんか欲しいものあるの?」


 

 瞳から おねだりなんて初めて。とはいえ 電車代やら昼ご飯代で 今月はジワジワお小遣いを削られた。高いものは キビシイ……。



「ううん。モノじゃないよ。付き合って1ヶ月経つのに まだ 1回もデートしてないじゃん。デートして? ご褒美デート」



 えっ? デート? デートがご褒美になるの? どっちかってゆーとボクへのご褒美な感じがするんだけど……。ホントに それで いいのかな?



「ボクとのデートがご褒美になるんだったら 喜んで。だけど ホントに それでいいの?」


「もちろん! 今度の明後日の祝日 1日オフだし その日がいいかな。亜樹は なんか予定入ってる?」



 勤労感謝の日か。もちろん 予定なんてない。もし あったとしても 瞳とのデートが最優先。



「ううん。大丈夫。朝から出かけて お昼 食べてって感じでいい? 夕方6時前からバイトだよね?」


「うん。そーなると思う。……あっ。ゴメン。啓吾 上がってきそう。じゃあね。楽しみにしてるから…」



 そう言うと 瞳は慌ただしく 電話を切る。いつものことながら 話す時間が 短すぎる。通話の切れたスマホを眺め 寂しい気分…。でも 初デートの約束。今度こそ スマホのスケジューラに書き込んでおかなきゃね。瞳のことだから ロマンチックなのが お好みだろうな…。夜景とか喜びそうだけど 夕方は バイトだし たぶん無理。それに お互いお金も あんま無いしな。けっこうな難問だ。どーしたもんだろ……?

 ………。

 ……。

 …。

 

 

            to be continued in “part Kon 11/23 am 8:23”





 

 

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