part Kon 11/21 am 10:33





 松嶋先輩は 頭からタオルを被り まだ 肩で息をしている。

 滴り落ちる汗が 床に 水溜まりを作っていく。



「お疲れ様でした 先輩。完璧っす」



 松嶋先輩は 第一セット 11得点。

 試合前の宣言通り 上げたトス 全部 決めきる勢い。


 

 先輩が 相手ブロックを引き付けてくれたお陰で 東先輩へのクイックも 効果的に使うことができた。

 東先輩 ブロックも含めて7得点。


 3年生2人で 合計18点。

 決勝点の三分の二を稼いでくれた。


 


 その代わり 3年生2人は 限界まで消耗している。

 東先輩も ベンチに座り込んだまま さっきから 一言も口を開かない。


 


「第二セットは 神楽メインでいくよ。小たまがミドルブロック」


「…ん」


「ハッ ハイ!」



 

 3年生2人の踏ん張りで 神楽 温存して 第二セットに挑める。

 第一セット 逆転されたときは 切り札 切ろうか 悩んだタイミングもあったけど 松嶋先輩の目を見て 耐えることができた。

 『絶対 あたしが取り返してやるから』っていう気迫が ビシビシ伝わってきたもんな。


 

 やっぱ3年生 スゴすぎ。


 

 第二セットは 1年 2年で しっかりやって 恩返ししないと。

 ゲームプラン通りの 試合展開になってるのは 完全に 先輩達のお陰。



「先輩方。こっちが20点に到達したら ダメ押しで 先輩達に 戻ってもらう予定なんで 心積もり お願いします」


「わかってるって。ヤバくなったら 助けてやる。思っ切りやってきな。……それまで ちょっとゆっくりさせてもらうわ」




 タオルの下から 頼もしい声。

 東先輩も頷いてくれてる。

 

 

 ……でもな。

 


「ゆっくりは ちょっと……無理かもっす。申し訳ないんすけど 20点まで すぐだと思ってるんで」



 あたしは チラッと綾創サイドのベンチを見ながら 確信を持って言った……。

 ………。

 ……。

 …。



            to be continued in “part Aki 11/21 am 10:48”






 

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