平行線上のゲシュタルト

平木明日香

相変わらずの日常で

第1話


 「レイコ!」



 朝の登下校の道で、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


 高校の友達で、クラスメイトの遠野葵とおのあおいだ。



 「…」



 彼女の声はハッキリ届いたが、私はそれどころではなかった。



 「レイコってば!」



 「…おっす」



 クマだらけの目で振り返り、挨拶を返す。


 葵は驚いた表情で私の顔を見た。



 「なに、…寝不足!?」



 顔色が悪いとか、眠たそうとか、そんな精力のない顔面ファクターが、顔の至る所に詰め込まれていたからだろう。


 文字通り、私は死にそうだった。

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