盧循4  建康襲撃戦

盧循ろじゅん徐道覆じょどうふく江陵こうりょうを攻撃させたが、到着前に迎撃軍によって追い払われた。そこですぐさま盧循のもとに向かい、言う。

「どうか、力を合わせ建康けんこうを攻めましょう。そちらさえ落としてしまえば、江陵なぞ憂うに足りませぬ」


こうして盧循と徐道覆は旗を連ねて長江を下った。配下兵は十万、戦艦は千を数えた。劉毅りゅうき桑落洲そうらくしゅうにて破り、江寧こうねい二まで侵攻。徐道覆はもともと果断なくちであり、劉裕りゅうゆうが既に帰還したと知れば、むしろこれを幸いと一気に攻め滅ぼすべきと考え、盧循に対しては新亭しんてい白石はくせきに出向き、各港の船を焼いて回り、上陸、数を頼みにすり潰させてほしい、と言った。盧循はあれもこれもと考える割に決断することは少なく、万全の計を取るべきであると言いだし、徐道覆の案に一切聞く耳を持たなかった。


徐道覆は盧循の決断力のなさを前に、嘆いて言う。

「ああ、わしはつく方を間違えたか、これではもはや事もなせぬ。このわしを英雄がために疾駆なさしむらば、天下なぞいくらでも平らげられように!」


劉裕は五斗米道軍に建康に進撃されることを懼れ、石頭せきとうを中心にして柵を張り巡らせ、柤浦そうほを塞ぎ、防備体制を取った。盧循は柵を攻めたが破りきれず、しかも吹き付けた暴風により船が転覆、死者すら出す有様となった。なんとか上陸し、南岸にて陣を連ね戦いを挑んだが、敗北した。


このため京口けいこうに標的を変えて攻めたが、何も得ることができなかった。




循遣道覆寇江陵,未至,為官軍所敗,馳走告循曰:「請並力攻京都,若克之,江陵非所憂也。」乃連旗而下,戎卒十萬,舳艫千計,敗衛將軍劉毅于桑落洲,逕至江寧。道覆素有膽決,知劉裕已還,欲乾沒一戰,請於新亭至白石,焚舟而上,數道攻之。循多謀少決,欲以萬全之計,固不聽。道覆以循無斷,乃歎曰:「我終為盧公所誤,事必無成。使我得為英雄驅馳,天下不足定也!」裕懼其侵軼,乃柵石頭,斷柤浦,以距之。循攻柵不利,船艦為暴風所傾,人有死者。列陣南岸,戰又敗績。乃進攻京口,寇掠諸縣,無所得。



(晋書100-9)



さらっと劉裕が跳ね返した、って書かれてますけど、実際はかなり苦戦してるんですよね。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888050025/episodes/1177354054888674549

劉裕自身あわや、という瞬間も結構あり、正直劉裕がやべえ、とか言い出したのこのシーンしかありません。盧循の強敵演出はもうどうしようもないから、徐道覆、徐道覆に賭けるしかない……!(なにをだ)

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