第5話アードラの勇者②
トレイが巨大化し、テンの店を破壊して7日たった。
トレイはロイからこっぴどく叱られ自室にて監禁されており部屋の前を通るとロイ様〜ごめんなさい〜と呪いのように囁いている。
馬鹿なやつだ。
その間、勇者などは現れずエースは食文化の散策に出る毎日であった。昨日は南京町で天津を食い一昨日は神戸牛とやらを食った。
(今日は何を食うか昨日の天津とやらは手軽で食いやすいしが一昨日の肉は満腹感があったがあれは高すぎる。)
最近は人間の服というのにも慣れた。Yシャツというものとネクタイの付け方人間とは服を着飾って証明すると大変面倒くさい者だと。
魔界に住む者は力で証明する。
簡単だ。
魔法だけではなく筋力どれでもいい強いものが上につく。
人間界は面倒だ上につくものは下につくものを放ったらかしにするか、上の立場を使って追い込む。
魔界は上についたものは下に付いたものを面倒を見見なければならない人間で言う師弟の関係だ。
我は師弟などは面倒くさくて嫌なのだが人間界で言う700年も師弟のお願いをする馬鹿者がいたため渋々許可を出した。
人間界は大抵年寄りが上の地位につき若いものが下につく我からしたら四桁もいかないものは赤子同然だ。
自室をでて、玄関にいき人間界の戸を開ける直前に
「エース!人間界に行くの!?」
ロイが玄関の横の部屋から出てくる。
「あぁ、飯を食ってくる」
では、ここに行ってきてと言いつつ二つ折りになった紙と財布を渡してくる。二つ折りの紙はクリーニング店の受け取り証である。
これは二度目であり場所は理解しているがそこの店員は無愛想で感じが悪い。つい灼熱で炙って食ってやりたくなるが老婆を食っても不味そうだ。
渡されたものを空いている右ポケットにしまい外出をする。
最近は、人間界ではハロウィンというものが近いらしく妖怪に化けて祝うというものらしく昨日切り刻んで食ってやろうと思ったが微弱の魔力しか感じられずエイトに遭遇し止めに入られ食う気が失せた。
あとは、南瓜という野菜は苦手だ。日本の飯というものは醤油というものがベースでできており塩辛いものを好むものである。食後に甘いデザートで閉めるのは理解できるのだが塩辛いものと甘いもの交互に食すという物は理解ができん。
日本人は季節やイベントを大切にする種族であるとは理解できたが食文化を操作するのはやめていただきたい。
我は生の肉しか食ってこなかったから食事がこんなに良いものだとは思わなかった。
今日はいつもと違う扉からでた。
人間界へと繋がる道は無数にあり、白の神に気取られないようにするたロイが設置した。
今日は神戸のショッピングモール付近のマンションにでた。
人混みにもだいぶ慣れた。
関わり合いにならなければ、誰も突発的には絡んでこない少し前にキャッチというものもに引っかかり喫茶店で男二人に囲まれたが人の威嚇など大したことはなく、右手から炎を出して差し出すと恐れて逃げていった。
今日は、フードコートとやらで飯を食うかと駅の地下街でマップを確認し進路を確認すると周囲に結界が貼られた。
周囲にいた人は消えて広い地下街で一人になった。
結界など気にせずフードコートへ目指すと大きな一本道で迎えにはフルプレート一人とローブを着たものが二人、ドレスを着たものが一人がおりドレスのものが不機嫌そうにしている。
どうやら空から落ちてきて死にかけたやらとフルプレートのものに怒っているがフルプレートのものもどうしていいやらとの感じ。
エースは横の細い道へでて遠回りになるがと思っていたが後ろから服を引っ張られたため振り向くとそこにはエイトがいた。
「エースあれは勇者…」
いくたびにこいつは我の行くところにいるがこいつは我の親なのか。
「貴方の好きな戦い…でも、殺したらだめ…」
わかっているが今は得る物のない戦いには興味はない。
本日のエイトの服装は黒のロングドレスにホワイトブリムをつけており使用人だ。
服装は固定のものがなくいつもロイの指定の服を着ている。
バタバタとしていると迎えのローブの二人築きドレスのものを沈めてわれに指を指すとドレスのものがズンズンと詰めてくる。
「そこの平民!魔王とやらはどこにいますの?」
さっきのフルプレートに怒っていたそのままの口調で問い詰めてくる。
「私たちはジョーカー様に使えるもの…貴方勇者一行…」
エイトの言葉を聞くとドレスの者の以外の者が戦闘態勢に入りフルプレートの者はドレスの者の前に入る
「姫様!お下がりください」
先程より早口で滝のような汗をかきフルプレートの者は背中に背負った斧を構えドレスの者の視界をさえぎる。
エイトは背後からおぞましいオーラを出しているため怯えたのであろう。
「急に取って食ったりはしない…エースじゃないから…」
味方に暴食の化け物だと思われていてため息が出る。
「食ったりしねえよ、でお前ら名前は。」
勇者以降は戦闘態勢のまま凍りついたかのように固まる
「わっ…我はアードラの勇者…魔王の討伐を命にしょ…召喚された…」
口を開くと踏ん張っていたのが溶けたのかカタカタと全身を震わせて答える。
あの姿を見る限り勇者という器ではないのだろう戦う気力がさらに失う。
「で、名をなんという」
「アードラの勇者だ!」
頑なに勇者だとしか言わない。
「それは肩書だろそれが名前だとそこのローブの二人もアードラ国?の勇者ってなになるだろ意思疎通しづらくないのか?」
言ってる意味が理解できなかったのか勇者一行はお互いの顔を見合わせる。
「まぁいい、勇者とやら我はお前たちみたいな弱者と戦う気はない。帰ってくれ」
「しかし、我らは、お前たちを倒す命を受けてここに来た!」
「誰からその命を受けた。白の神か?」
それを聞きフルプレートのものは仲間の方を向くがローブの二人もドレスのものも首をかしげる。
誰かよくわからないものに命じられて赴くままに来たという。
「エイトや、勇者はこんなに間抜けなのか?こんなのに苦戦をしてたのか??」
「こんなのは初めて…」
呆れてるのかエイトは左手で握っていた斧を離していた。
(この空気は何だ。勇者とは自分の信念を持って強気魔王に挑むものではないのか、この理由もわからない願いを聞いて真に受けて勝てるかわからないものに挑みに来るものどうしていいかわからん。)
「エースちょっと懲らしめて連れて帰るわよ…」
エイトは敵に背を向けて距離を取る戦う気がないのだろう柱に備え付けられた椅子に座り込んだ。
(人間界に来て初戦がこんなにくだらない奴らだとやる気が失せる。)
「dragon」
エースの変身の合図。全身を鱗板骨で覆い身長と同じ長さの尻尾を生やす。
変化に驚いてる所を後ろからローブの二人にげんこつをお見舞い。振り向いたフルプレートの男の横っ腹に思いっきりの握りこぶしをプレゼントした。
3人とも伸びてしまいドレスの者はあわてふためく。
「女性に暴力はできんエイト頼む」
エイトはコクンと頷きドレスの元へ行き目の前に手のひらサイズのガラス玉を見せて眼の前で粉々に砕く。それと同時にドレスの者は崩れるように倒れる。
「で、こいつ等どうするよ。」
「ジョーカー様に聞いて連れて帰る」
エイトはスマホを取り出して耳に当てて連絡を取る会話の感じジャックを読んでいる。
アードラの勇者たちが倒れると覆っていた結界が解かれて青白い空間から開放されたが人々はまだいない。
「エース…そろそろ人間が来る…トイレに持っていく」
エイトはドレスの者のを背負い歩き出す。
おい、我は3体かよ、両腕に一人づつと尻尾に一体巻いてエイトの後ろをついて行く。
ショッピングモールの非常用通路に途中にある介護用のトイレ名前に止まりドアノブに緑の石が付いたも鍵をかざす。
「エース帰るよ。」
引き戸開けて白く光の空間へと溶けていく。
トイレとはエースには無縁のものだがしている。エースは食べたものは最終的に火炎袋に入り消化されるため不要物など無く排出物はない。
汚い空間と理解していて仕方がなく入ると風景は一新したそこには便座はなく、木製に床に土壁の小さな小屋が現れた。
「ここは?」
「一時の避難場所…」
なにかの工房なのだろうか刃のついた機材が多く転がっている。
「何だ工房か?」
「私の家…過去のだけど…」
過去の家では、エイトはあくまではなかったのか。
悪魔は建築はしない武器も神が作った物を与えられそれを使うだけ。
力があればどこででも寝れるし奇襲などほとんどない一度されたかもしれないという記憶はあったが起きると歯が足元に散らばっていただけでやられた記憶はないからな。
「では、お前はどこかの人種だったのか。」
「悪魔と魔人の子…」
(天使と人の子もいれば悪魔と人族の子もいるのか世界はやばいな。)
「ここで杖を作って生活をしていた…」
「一人でか?」
コクンと頷く。
いじめだろうか。
少し会話をしていると入口の扉が開き体のラインが強調されて裁縫され、各所に宝石が散りばめられたドレスを着た者が入ってくる。
建物に似合わない服装だ。
ふとエイトを見ると頭を下げているためこの者が誰かは察した。
「ロイか。」
「あったり!エースも私を見抜くようになってきたね」
背中をパンパンと叩き喜び喜んでいるが力が入っており中々痛い。
「ジョーカー様この勇者はどうしますか?…」
「うーん。とりあえず家に持って帰ろっか。」
何処から取り出したかわからないが。瓶の中に入った青い粉を勇者の頭にかけて撫でて馴染ませる。
「これで大丈夫。」
ニコニコしながらスキップをして出入り口の扉を開けて出ていく外からは暖かい風とちぎれた草花が家の中に入ってくる。
見ると大きな建物が目の前にあり帰ってきた。
学校というのだったか、とりあえず草原に勇者たちをおいた。
腹が減った。
「エース貴方ってワニなの?」
「ワニ?なんだそいつは強いのか?」
「私たち悪魔にとっては弱い。でも人間より知能は無いが噛む力は強い」
「我は元は魚人だ。そこからいろんな魔物を喰い変化してきた。地上で住むようになって魚人としての魚は捨てたがな。」
エイトは腕や尻尾の固い鱗板骨をなぞるようにさわり「本当に邪竜なんだ」と呟く。
家の方からジャックが歩いてきて勇者達を抱える。
「おい、どこへ持っていく?」
ジャックは一度止まるがもう一度歩きだし家の中へと消えていった。
(まぁあいつらがどうなろうと正直どうでもいい。殺しはしないであろう。)
エースは空腹なのを思いだし、視界にエイトの姿が入ったので「飯を喰いにいくか、エイトおもえも行くか?」と誘った。
「エースの奢りで…」
小さな声を聞き漏らさずわかったと返事をして小屋へと戻り人間界への鍵を使い解錠する。今回は先程のショッピングモールではなく駅の駅員室へとでた。エイトの歩む後をつけると元町駅の改札へとでる。エイトはそのまま中華街の方へ行くと客引きをスラスラとかわしていき一軒の店にはいっていく。
数多くの飲食店を素通りして一目散に店舗に入り料理人にラーメン二つ大盛り辛さ3!と答え店主は「お嬢ちゃん辛いけど大丈夫?」と何度か聞き返すが首を縦にしか振らない。
「おい、ラーメンとはなんだうまいのか?」
エイトは首を縦に振る。
「ではよい、それを堪能しよう」
エースは人生ではじめてのラーメンを食べる。エイトのように橋をうまく使えずフォークで。啜って麺を食べることができずテーブルを汚しながら。
「これは食すのは難しいが美味しいものだな」
(これが辛いというものか)
細い麺と共にスープを飲むと後で喉ひりひりする。
エイトは麺をすすりつつ右手で親指を立てる。こいつにも可愛いところがあるのかと確認した。
会計を済ますとエイトは急いで店をでて少し歩いた先に列のできた店の列に並んだ。
こうして4軒ほどラーメンを食べ歩きエースの財布は軽くなった。
白と黒の戦闘交響曲 碧山 @AOIKAKu
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