降臨
彼は狂喜している。全てが彼の下に集い、彼は全てへと向かう。この宇宙の全粒子がただ動くように、彼は自分が生きていると感じた。ビッグバンが粒子たちを尽く突き動かす事の如く、
彼は身より煌々たる暗光を放ち、十方を無量無辺に遍照し、空には厚く鬱屈とした雲が大きく掛かり、次第に雷鳴が轟き始めた。彼は神棚の前に跪くと、彼らの
女は元来の美しさを増して、其処に人間が居たならば、皆一同に気を狂わせてしまうだろう。常識と理性と倫理と人間とを冒瀆するかの如く、彼女は闇色の髪を
斯くして彼女の周りには宇宙的な闇と、真紅に光る霧が立ち出でて、天使の一人たりとも立ち入る事の叶わない。代わりに日本国中の悪鬼悪霊、魑魅魍魎がこれから産まれる者とその父と、彼らの名に、頭を垂れて蹲い、等しく無量の歓喜を受け、
彼らの為に馳せ参じた、怨讎を湛えた三対の腕と、大蛇の下半身を持つ猥褻なるものはこう言った。
「畏れるべし。古今未曾有の事を
炎の中にあった女が座って脚を開くと、その陰部から少しずつそれは現れた。
「
何処とも問わず、狗たちが一斉に遠吠えをした。真灼と呼ばれた男と母なる者は、手を繋ぎ、そして離すと間から刀が一振り出でた。真灼が子に翳すと即座に成長し、刀を取って八歩歩くと右手で天、左手で地を指すと、天上天下唯我独尊と明らかにした。
そこに一体の偉大なる兜虫型の生物が降り立つと、先刻名付けられたばかりの彼の手を取り、真灼に向かって言った。
「He knows of your love, which is why you reside in the realm of mankind, as he observes both you and her. You feels like she is your everything, don't you? This is the language that the most intelligent creatures currently on this planet use. Is my view correct?
ああ、訂正。この地域ではこちらの言語が使用されているようだな。でもきみには伝わったね。兎に角、きみには彼女と添い遂げる決意があるだろう。彼は私が適切な所へ連れて行っても構わないな? 了解してくれるね。彼の加護はきみと彼女に残す」
真灼は数秒、子と目を合わせると頷いて笑った。
「俺も此奴もそういう覚悟だ。行け」
空を覆っていた暗雲は払われ、雷鳴は静まり、微風が吹いた。また地上には安寧が戻り来て、ただあの者の降臨と旅立ちを祝福した。其処にはただの真灼と、母だった者と、三対腕の告知者だけが残り、真灼は告知者に向けて言った。
「姦姦蛇螺、お前は再び怒りと悲しみで灼けろ」
邂逅と降臨 夜依伯英 @Albion_U_N_Owen
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