死にたい君と死ねない僕
@huzitutaruriko
第1話
「僕はあの日してはいけない恋をしてしまった。」
今日は期末試験の結果発表日。順位一覧の掲示板の前では、人が集まりざわめいていた。
「秋内!お前また1位かよ!羨ましい」
「秋内は脳筋なお前と違って毎日コツコツ勉強してるんだよ!ばーか」
「お前!」
「まあまあ落ち着け二人とも。喧嘩の仲裁役はもうごめんだよ。」
「そーだぞ。七海。俺も七海と喧嘩とはごめんだよ。」
「佐藤!てめぇ!」
もうこれだから喧嘩は、、。
僕の目に黒髪の少女が止まった。周りとは少し違うような、特別な存在を感じた。
「秋内?」
「あぁ。あいつか。顔だけはいいよな。まさか惚れた!?」
佐藤と七海は嫌な表情をした。
「あいつとは関わらない方がいいぜ。」
「なんで?」
「知らないのか?有名だぞ。あいつは心中して生き残った女だぞ。うちの兄貴と死んでな。今でも覚えてる。あいつは笑ってた。兄貴が死んだっつうのに。あれは死神だ。」
「そうか。」
ここは小さい集落だから噂はすぐに流布する。かわいそうに。いや、僕には関係ない。
「よし!あと2時間だああ!授業がんばるぞ」
「脳筋はいつも寝てるじゃないか。」
「佐藤!!」
やれやれ。
___________________
「じゃあな!明日」
「ああ。また明日。」
夏は終わりかけているらしく、昨日まで聞こえていた蝉の声が消えていた。なんだか寂しい。太陽の光を反射した海が集落を照らす。
たまには自転車ではなく歩きながら景色を眺めるのもいいかもしれない。
「危ない!」
目の前には柵を乗り越えようとする人がいた。先は海だ。自殺!?
「やめろっ」
危機一髪だった。あと1秒遅れたら落ちるところだった。
「何やってるのですか。危ないですよ。どうして、、、、」
目の前には今日見た彼女だった。背筋が凍る。
「はあ。最悪。あと少しだったのに」
「何言ってるのですか?自殺?そんな___」
彼女の目を見ると何か痛いところを触られた気がした。暗くて深くて何かが写っていた。彼女に見られるとなぜか心地がいい。いけない人と関わっているのに。なぜか一緒にいたいと思ってしまう。ダメなのに。彼女をもっと知りたい。
「そうだ!!一緒に死なない?」
「はあ?なんですか急に?」
「あはは。だよねー」
「ゲームをしましょう。」
「ゲーム?」
「僕があなたを死ねないぐらいに楽しくさせます。来年までに。来年あなたが生きたのなら僕の勝ちです。」
「うーん。、、いいよ」
僕が大学受験をしてここを出るまで、君をもっと知りたい。そして生かしたい。
「君面白いね。」
「そう?」
「気にった。じゃあ私からも。来年までにあなたが死んだら私の勝ち」
「僕が死ぬわけないじゃん。」
「あら。そう」
「そういえば君の名前は?僕は秋内翔。宜しく。」
「私は稲荷日秋宜しく。秋くんって呼ぶね。」
「うん」
僕の命懸けの勝負がここから始まる。
死にたい君と死ねない僕 @huzitutaruriko
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