第5話 協力

 話を聞き終わった俺は真っ先に思った。全てフローラに丸投げしようと。あいつの方が強いし、多分責任感もある。それに親に剣聖を持つから多分正義感も強いだろ。


「よし、全部あいつに丸投げしよう。」


そう呟いた俺に


「あいつって誰?」


とサクヤが反応する。


「フローラだよ。あいつの方が向いてそうだからな」


そこで思わぬ声が聞こえた。


「私がどうかしたの?」


そう声をかけたのは剣聖の娘、フローラだった。タイミングがいいというか悪いというか。


「どうしてここにいるんだ?」


「それはこっちのセリフよ。いつもの場所にいたらやけに騒がしいから来てみたのよ。」


「そうなのか。まぁ、ちょうどいいから話だけでも聞いてくれないか?」


「……話って何かしら?」


そんな嫌そうな顔をしなくてもいいと思うんだが。


「実はな……」


さっきリターと話したことを伝えた。


「話は分かったわ。」


「なら良かった。あとは任せた。」


「えっと……何を任されたのかしら? 」


分かってねえじゃねえか。何が話は分かっただよ。仕方ないから教えてやる。


「要するにリターが言いたかったのは、何か問題が起こったら動いてくれってことだろ。それか、何かあったらいけないから、調べてくれってことかもしれないけど。まぁ、そこまではしなくてもいいとは思うけどな。」


「そういう事ね。警戒をして、迅速に対応してくれということかしら? 」


「そういうこと。」


「じゃあ、何故あなたに言ったのかしら? 教師に言った方がいいと思うのだけど。」


「それはまともに扱ってもらえないと思ったんだろ。それに変な噂を流していると思われたくなかったのかもしれないし。あと、何故俺なのは知らん。」


「なるほどね。分かった、引き受けるわ。その代わり、あなたも協力しなさい。」


まじかよ。俺なんかがいても全く役に立ちそうにもないぞ? 俺強くないし。


「俺、そこまで強くないぞ? 」


「なら、命だけは守ってあげるから協力しなさい。」


そこには有無を言わせぬ迫力があった。殺気には全然耐えられたのに、何故これには耐えられないんだ。


サクヤからも協力しようよと言われればもう逃げ場はない。仕方なく承諾するのだった。


なすりつける相手ミスったぁぁぁ。

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