第4話 お願い
声のした方を向くと、目の前に知らない女の子が俺達をみていた。
「ん? いや、お取り込み中じゃないぞ。」
「それなら良かった。安心して、誰にも言わないから。」
そう言って小さくサムズアップする女の子。
「何をだ? 」
不思議に思って聞く。
「人の好みはそれぞれだもんね。」
あっ、これすごい勘違いされてね?
改めて状況を確認すると、男子2人が人気のないベンチの上でくんずほがれつしているわけで……
別に俺だって誰を好きになってもいいとは思うが、それとこれは話が別なわけでして。
「えっと何か勘違いしてね? 」
「勘違い? 」
「そうだ。俺とこいつはそういう関係じゃない。」
「えー。お似合いだと思うのに。」
そういう反応はやめてほしい。反応に困る。別に嫌なわけじゃないが、サクヤは嫌がる……なんでお前満更でもなさそうな顔をしてるんだよ。否定しろよ。むしろ否定してくれ。
何も言えずして黙っていると、
「あ、自己紹介するの忘れてた。私はリター。よろしくね。」
「お、おう。よろしく。」
「よろしく」
俺とサクヤが返事をする。結構マイペースな人なんだな。そのおかげで話題が切り替わってくれたから良かったけど。
「で、どうしたんだ? 」
「あっ、そうだ。伝えたいことがあったんだ。確か名前は……ジン? 」
「そうだよ。俺がジンでこいつがサクヤだ。」
それにしても、伝えたいことってなんだろうか。面倒臭いことじゃないならいいんだけど。
「ジンとサクヤ、覚えた。ところで太陽神教って知ってる? 」
なんか村を救ったのなんだの言われている宗教のことか。
「名前だけは知ってるけど、それ以上は何も知らないな。」
俺は答える。
「サクヤは? 」
「僕も名前だけかな。」
リターに振られたサクヤも、俺と同じ感じらしい。
「その太陽神教ってのがどうかしたのか? 」
「そう。ちょっときな臭い。」
「というと? 」
「よく分からないけど、嫌な予感がする。太陽神教には気をつけて。」
「まあ、一応分かった。でもどうして俺に教えてくれたんだ? 」
「強い人に一応伝えておこうかなって。ジンって殺気に耐えた人だから。」
あー、そういう事ね。だから俺を頼ってきたと。あいにく俺は強くないんだが、そんなこと言えないしなぁ。
「あー、了解。警戒はしておく。それって他の人には話してもいいのか? 」
「いいけど、あんまり広めると混乱するから程々に。」
なるほど。確かに善行を積んでる太陽神教がきな臭いっていう噂が流れれば混乱はするな。デマだったら俺が糾弾されかねないし。
「じゃあよろしく。私まだご飯食べてないから。」
そう言い残してそそくさと行ってしまった。最後のそれいう必要あったのか?
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