第2話 サイドチェスト

 俺は朝のランニングを終え、シャワーを浴びていた。部屋に備え付けのやつだ。軽く汗を流し終えた俺はタオルで体を拭き、パンイチで部屋に戻る。暑いからな。5月に入って暖かくなってきているし、部屋にはサクヤしかいないし。


遠慮することなく部屋に戻る。すると普通にサクヤに怒られた。


「ジン、服着てくれない? 」


「どうしてだ? 」


男同士別に気にすることじゃないだろ。


「どうしてって、その、目線に困るというか……」


そう言われ俺は自分の体を見る。そんなに俺の体に問題があるのか。割れかけの腹筋とすね毛が目に映る。確かに人に見せられたもんじゃないか。


誰が好んで野郎の裸体を見たいというのか。確かに見たくないか。これは反省。


「悪い。配慮が足りなかったな。次から服を着て出てくるわ。」


「うん、そうして。」


俺に背を向けて何かをしているサクヤはそう言った。


仕方ない涼みきれてないけど服を着るか。そう思い、服を着ようと身を屈めた時だった。自然とお腹に力が入り、少し筋肉が浮き出た。お? 筋肉あるやん。ついでに腕の筋肉もついてきた。


サイドチェストやらモストマスキュラーやらやっているとどんどんテンションが上がってきた。そのうち腹筋板チョコバレンタインになるのも夢じゃないな?


「なあサクヤ。」


楽しくなって、サイドチェストのポーズでサクヤを呼ぶ。


「ん? どうしたのジン? 」


当然振り返ったサクヤはパンイチの野郎(ジン)がサイドチェストしているのを見ることになる。


「うわぁぁぁ! なんでまだ服着てないの! 今まで何してたの! 」


それからしばらくサクヤに説教をくらったのだった。

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