第10話 お手紙
ある日の昼、荷物を置きにロッカーを開いた時だった。実は毎日剣聖の娘に威圧をかけ続けること10日以上だったりする。
そこに白い紙、いや封筒が入っており、俺宛の旨が表に書かれていた。俺はこっそり封を開ける。中には……
———貴方に話したいことがあります。放課後、体育館裏へ来なさい。これは命令です。フローラ。
とだけ書かれていた。フローラとは例の剣聖の娘だ。俺がほぼ毎日威圧をかけてちょっかいをかけていた人だ。毎回新鮮な反応をするから面白くてやめられなかったんだよな。昨日なんて持っていた水筒を放り投げていたし。
思い出しただけでも笑えて来る。わははははははは……待て。客観的に見て、俺、最低すぎないか?
そんな、あほ程当たり前なことに今気づく。そしてさらに気づく。俺殺されるんじゃね? 夢中になり過ぎて止め時を完全に見失っていた。
考えれば考えるほど、謝る程度では済まないような気がして来る。お得意のジャンピング土下座を決め込んだとしても、あまり効果はなさそうだ。
ただブッパするのはマジでやばい。それこそ明日の朝、黒板に磔にされかねない。切り捨てるんですか? と聞いたら、イエス、キリステます。なんて言われるに違いない。
真正面からやり合ったら秒殺されるのは目に見えているからな。冷静さを欠いた相手に威圧は効きずらいし。
こうなれば取れる手段は一つ。全力で謝る。それのみ。これでもかっていうほどの正攻法。正攻法で成功させるのだ。
その後、サクヤに事情を説明して、護衛を頼み、もし重傷を負ったら病院に連れて行ってもらうように頼んだ。
サクヤはなんかいい感じに勘違いしてくれたようで、快諾してくれたのだった。ところで俺、サクヤの将来が心配です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます