第8話 ランニング

 物音で目が覚ますと、すでにサクヤは起きていて身だしなみを整えていた。外は明るく、一瞬寝坊でもしたかと思い焦って時計を見るが、まだ時間的には余裕があった。


流石に二度寝を決め込むと起きれなそうだから、起きることにした。


「サクヤ早いな。何時に起きたんだ? 」


「あっ、おはよう。起きてたんだね。えっと、起きたのは5時くらいかな? 」


ちなみに今現在6時半。7時半くらいに起きても全然間に合うため、とても早起きだ。


「偉いな。俺はまだまだ寝ていたくらいだ。二度寝したら起きれなくなりそうだから辞めておくけど。」


「あはは。確かに。僕は早起きする習慣が身についているからどうしても目が覚めちゃって。ほら、僕地元では早朝に剣の鍛錬をするのが日課になっていたから。」


ほら、と言われても知らないのだが。それにしても偉いな。


「と言うことはさっきまで鍛錬してたのか? 」


「ううん。場所がなかったから軽く走ってきたよ。僕体力ない方だから。そうだ! どう? 明日から一緒に走らなあい? 」


正直断りたい。早起きだけでもしんどいのに、その上走るとかキツすぎる。キツすぎるのだが、


「走るか。」


そうでもしないと俺は走らないしな。村では基本的に師匠に叩き起こされて、走らされていたからな。今はその師匠はいない訳だから。


それにそれなりに努力しておかないと、すぐ退学になってしまいそうだ。スキルがあるのと実質ないに等しいのでは、差がありすぎる。


それに一年も経たずに村へ戻ったら、多分師匠に殺されるだろうし、他の人に合わせる顔もない。失うものはなかったはずなのに、それは間違いだったと気づく。


「やった! ジンも一緒に走ってくれるなら、やる気も上がるよ! 」


「悪いが、俺が起きてなかったら起こしてくれないか? 俺、朝弱いから。」


「もちろんいいよ! 明日から頑張ろうね! 」


「あぁ。」


これで逃げ場はなくなってしまったが、これでいい。こうでもしないとやらないのが俺なのは自分がよく知っているからな。


そうして、さっさと服を着替えて、身だしなみを整え、サクヤと食堂へ向かった。今日の朝ごはんはなんだろうか?






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