第1章 導入 第1話 広場

 王立魔剣学院。王国一の魔法と剣術を学ぶための学園。そこには貴族も平民も王族さえも関係なく、合格すれば入学できる。


また、卒業して王国に従事するならば学費もほとんど免除される。まぁ、ほとんどの人が国家騎士や、魔導士になりたくて入っているわけだから、実質学費が存在しないみたいになっているけど。


さらにこの学院の特徴として、入るのは割と簡単だが、卒業するのが大変というのがある。入学時は約500人だが、卒業できるのは100人いればいい方なのだ。卒業すればすぐにでも国家騎士や魔導士になれることを考えると当然のことかもしれないけど。


ちなみに魔法科が250人で、剣術科も250人。魔法と剣術の頭文字をとって魔剣学院という名前になっていると個人的に思っている。真相は知らない。


んで、俺が今立っているのはでっかい門の内側。


新入生がたむろしている広場にいた。


そう、今日が新入生の入学式なのだ。


基本的に全寮制のため、ここに入ると暫く出ることはできない。別にホームシックになるタイプでもないから特に何も思わなかった。


すでに荷物は持ち運んでおり、何日かそこで暮らしている。2人部屋でルームメイトもいるみたいだが、まだ来ていない。


それで暇だったから式が始まるまで、どんな人がいるのかなと広場に出てみたわけだけど。


いくらか人だかりができていた。


1人目は銀髪ロングの美少女。確か剣聖の娘だった気がする。ただあまり相手にしておらず、迷惑そうに適当な挨拶を返したりしていた。


2人目は金髪ロングのこれまた美少女。大貴族のご令嬢だ。こちらは愛想良く色々な人と話しており、お淑やかな雰囲気をいけた。


そして3人目。人一倍注目を集めていたのが、金髪のイケメンさん。特に女子の集まりがすごい。人気があるんだからもっと驕ったらいいのに、困った顔をするからずるい。イケメンに困った顔とか反則だろうが。学園じゃなきゃ威圧を向けていた。威圧したところでって話だけど。


そして最後、何人かの取り巻きを連れている金髪縦ロール。うん、あれは関わらないでおこう。それがいい気がする。


あらかた観察し終えたが会場に入れるまで、まだ少し時間がある。


式の流れを確認しておこうとポケットに手を突っ込んだが、そこにはハンカチ以外何も入っていなかった。


やっべ、持ってくるの忘れた。


式の詳細の書いてあるあの紙を取りに帰るため、その場を後にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る