第59話 ホビット国


 さてなんかいいのがないかと日本の街をクルマで走る。モニカも一緒だ。

 そういえば荷馬車はみるが、あれだけ発展してるのに乗り物がないのが不思議だよな。

 自転車を渡したからそこから色んな乗り物が作られるだろうな。

 とハンバーガーなんかを買い込み、チェスや将棋、リバーシーなんかも買うが、トランプがあったのだからあるかもしれないな。

 まぁ、あったらあったでいいだろう。

 ビリヤードやダーツもネットで注文する。

 飲みながらやるのにちょうどいいだろう。

 酒もブランデー、ウイスキー、スピリタスなんかも買って持って行くことにした。スピリタスなんかほとんどがアルコールなので酔うだろうな。


 異世界に戻り商売を始める。

 飛ぶように売れるがスピリタスを飲んだおっちゃんがぶっ倒れた、がすぐに起き上がり買い増しして帰っていった。

「どんだけ酒好きなんだよ」

「あれ強いの?」

「あぁ、世界一強い酒だ」

「うわぁ」

 アクアがドン引きしてる。

 それからも販売はそつなく終わり、今度は工房へ行く。

「これって作れないか?」

「なんだ簡単じゃないか」

 と図面を書いて作っとくと言う。

「これなに?」

「これはゲームだよ」

「なにこれなにこれ」

 ビリヤードの遊び方を教えるとおっちゃんものってきて遊び始める。

「こりゃ面白いのぉ」

「だろ?広めてくれよ」

「おお!任せろ」

 図面を書いてあったから現物はいらないだろ。

 次の工房ではダーツを、次の工房ではチェスというふうに作ってもらい広めてもらう。


 ダーツ場やビリヤード場が出来て、面白がってみんな遊んでいるのでよしとしよう。


 また王城に呼ばれて、

「素晴らしいものありがとう」

「いいえ、遊びも大切ですからね」

「そうじゃの!」

 分かりやすい性格のドワーフ族だなぁ。

 次の日も商売をしていると奇妙な客が来た。

「…扉を売れ」

「は?ここにもかよ!」

 非戦闘モードから切り替えるのは難しいが、なんとか初手を避けて剣を抜き取り切り上げると、

“キンッ”

 と金属音がした。

 ローブが剥がれ落ちると全身金属の人型のロボットのようだった。

「金属ならこれを喰らえ「ライトニング」」

「グァァアァア」

“バチバチッ”と音がして動かなくなったと思ったら悪魔が這い出てきたので斬る。

「く、クソッ…」

 灰になって行くそのロボットはすごく良く出来ていたのにもったいないと思ってしまった。

 それから工房で一人の遺体が発見された。

 多分ドワーフに入り込んだ悪魔が自分用に作った体なのだろう。


 だがどこにでもいるモンだな。数は少なくなってるはずだから容易に突っ込んでこないがな。

 Gみたいに一匹いたらとかだったらどうしようか?まぁ、潰して行くしかないか。


 これからも注意して動かないとな。でも反応がなかったのは機械だったからか。

 流石に生身だったら反応するからな。


 とりあえず店は続けてもらい、扉を出してみるが反応がないのが救いだな。

 さて、ドワーフ国を出ることにした俺たちは荷馬車に乗ってドワーフにからホビット国へと入る。ホビットも手先が器用で朗らかな性格らしいが、なぜか絡まれている。

「なーにしに人間が来てんだよ!」

「「来てんだよ!」」

 お供が2人ついている。

「旅商人だが何か悪いのか?」

「あ?なぁにを売ってんだよ!」

「「売ってんだよ!」」

 チャリンコに乗った悪ガキ三人って感じだな。

「君の乗ってる自転車なんかを売っている」

「あ、だったら通っていいですよ」

「「いいですよ」」

「お気をつけてぇー」

 

 ちびっ子暴走族は丁寧だった?

 あんなのが流行り出したか。バイクを持ってこなくてよかった。


 ホビット族は子供くらいの大きさしかないから宿も借りられないのでキャンプよう品を買ってきた。敷地を借りてそこにテントを張る。そしてその前で商品を売ることにした。


「こんなのあるんだったら早く出して欲しかったよ」

「まぁ、気付かなかっんだよ」

「オラ気に入っただよ」

「そりゃよかった、組むのは難しかったけどあとはアイテムボックスにそのまま入れられるからね」

 十人用と書いてあったがデカすぎる気がするのだがな。

 だがテントも気に入ったみたいで中を見たいと言うから見せたら作っていいかと聞いてくるのでどうぞと言っておいた。


 翌る日にはもうテントが作ってあって驚いた。ホビット族も手先が器用と聞いていたがこれほどとは思わなかったな。


「これ売っていいか?」

「いいぞ、自分で作ったんだろ?」

「わかった、ありがとう」

 ホビット族は走っていってしまった。

 さて、次は何を真似してくれるかな?

 あ、そう言えばチャックは作れたんだろうか?こっちでも見せてみるか。

「これはつくれるかな?」

「ちょっとみせてみろ」

 色んな角度から見ているな。

「たぶんできるかも、出来たら売っていいか?」

「いいぞ」

「分かった」

 ホビット族はチャックを持って走っていってしまった。

 ぶっきらぼうだが親切で心優しいホビット族とは仲良く慣れそうな気がする。


 2日後に王都に向かって旅立った。

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クローゼットから異世界に あに @sanzo

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