第6話

 気持ちを決めてからの俺の行動は早かった。

 まず明日には告白できるように昼休みに体育館の裏に来てもらうようにお願いした。


 体育館の裏は基本誰もいなく告白にはうってつけの場所だ。前に念のために調べておいたことが今になって役に立つとは。

 我ながらナイスである。


 霞ちゃんには言わないでおくことにしている。言ってしまったら嫌なことが起きる予感がするのでやめておくのだ。

 自分の感を信じようと思う。


 告白の流れはまだ決まっていない。

 涼花を体育館裏に呼ぶまではいい。だが、今まで長く涼花と一緒にいた俺は彼女がどんな告白を望んでいるのかは分かっているつもりだ。


 彼女の望みなんて無視して世の中で頻繁に行われてる一般の告白をしてもいいのだが…振られた時のダメージが大きいと予想されるわけで…。


 ちょっと言い方が悪いが、ふざけている感じかつ真面目なところも相手に伝わる内容にしたい。


 涼花と出会った時から彼女一筋で育ってきた俺は、言うまでもなく女子に告白したことなんてない。

 涼花は何度も告白されているらしいが、すべて断っているとこの前言っていた。


 振っている理由が残念ながら把握していないがあり得る選択肢としては、他に誰か好きな人がいる。または男女交際そもそもに興味がない。


 後者だった場合、俺は振られるわけだがどこの馬の骨とも知らない男に盗られるくらいなら全然ましだ。


 という考えのもと、俺は告白に挑むわけで…。


「そうだ!」


 いいことを思いついた。こうすれば完璧なシチュエーションになるのではないだろうか。

 凄い、俺は天才か!


 明日はこう行こう。








 次の日になり、俺は母親が作った朝ご飯をある一つを覗いて普段通りに食べていた。


「お義母さん、美味しいです!」


「そう~。霞ちゃんは嬉しいこと言ってくれるね!」


 そう…何故かうちの食卓に霞ちゃんがいた。お隣さんだから母さんと霞ちゃんは人見知りなのだ。


 霞ちゃんは俺の隣に腰を下ろしていて、向かい側に座っている母さんと仲良さそうに会話を交わしている。


 …ん?なんでこんな状況になったんだ。

 なぜ霞ちゃんが俺んちにいて、一緒に朝ご飯を囲んでいるんだ?


 まぁ、霞ちゃんは楽しそうにしているし別に嫌悪感を感じているわけではないのだが…。


「お兄さんは毎日こんなに美味しいご飯を食べてるんですね。羨ましいです!」


「あ、あぁ」


 呼び方がお兄さんに戻っている。母さんの目の前だからだろうか。久しぶりにお兄さん呼びされた気がしてむずがゆくなる。


 しばらくして俺が朝飯を食べ終わると同時に霞ちゃんも食べ終わった。


「ご馳走様でした。美味しかったですお義母さん」


「何度でも来ていいからね。お母さんによろしくね~」


「はい、お兄さんもまた!」


 そう言って霞ちゃんは玄関から出て行った。


「なぁ母さん?」


「どうしたの?」


「なんで霞ちゃんが来たんだ?」


「回覧板よ。いつもは涼花ちゃんが持ってきてくれてたんだけど、今日は珍しく霞ちゃんが来たから」

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幼馴染が寝てる間に告白した俺、次の日何故か幼馴染の妹が病んでる minachi.湊近 @kaerubo3452

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