第2話 吉田美歩という人間
会社は所謂普通のホワイトでもなくブラックでもない様な会社だ。
外回りもあるが俺は一応普通にオフィスで働いている。
そんな事を考えながら俺は吉田さんの事を思いつつソフトウェアを動かしながら全ての記録を刻んでデータを書き記した。
そうしていると頬にいきなり冷たい感触が!?
ひゃっと声を上げてしまった。
「先輩♪」
「.....宮野。何をしている」
「見て分かる通りです。おどろかしました」
「それは見て分かるが.....」
「これ飲みます?先輩の好きなカフェラテです」
ニコッとするショートヘアの可愛い女子。
宮野裕子(みやのゆうこ)。
俺の2つ下の後輩である。
ゆるふわウェーブの黒髪をしている女の子。
自由系の可愛らしい服装のオフィスレディだな。
俺が27歳であり。
宮野は所謂、新人になる。
「飲みます?じゃない。いきなり驚かすな」
「私に気が付かない先輩が悪いです」
「酷い話だな」
そんな感じで会話をしながら宮野をジト目で見ていると。
対面の男が「そう言うなよ」と顔を上げた。
坊主頭の眼鏡の青年。
俺の友人の友作美春(ともさくみはる)であった。
「せっかく裕子ちゃんが声を掛けているんだぞ。可愛い女子がな」と言いながらニヤニヤする美春。
「でも部長に叱られる前に取り敢えずは仕事しろよ」
「そんな事は分かっている」
「あ。じゃあ先輩。別れる前に。カフェラテを受け取ったんですから私に付き合って下さい。終わったら」
「.....お前。罠を仕掛けたな?」
「仕掛けてませんよ?」と言いながら俺にてへぺろとする宮野。
全くコイツは悪魔だな。
そして美春もそうだが.....俺にニヤニヤしやがった。
どいつもコイツも非道だ。
思いながら宮野を見る。
「せっかくですから色々とお話がしたいです」
「.....?」
宮野を見ながら俺は「?」を浮かべた。
それから宮野は部長の咳払いを聞いて慌てて「じゃあ戻りまーす」と宣言した。
俺はそんな背中に「何だアイツは」と呟きながらカフェラテを飲む。
すっかり冷たくなくなっていた。
まあ暖かいカフェラテも嫌いではない。
☆吉田美歩サイド☆
実際私は拾われた訳じゃない。
後を付いて行ったのだ。
どういう事かと言うと酔っ払っていた宏太さんの部屋に無理矢理入ったのだ。
だから私は誘拐罪ではない。
誘拐罪どころか単なる強盗だ。
「.....」
私は家事をしながら目に涙を浮かべる。
全て私が悪いのだ。
思いながら私は宏太さんの部屋を見渡す。
私は.....こうでもしないと逃げれなかったからだ。
何から逃げているのか。
それは前に泊めてもらった男。
宏太さんは優しそうに見えたから付いて行った。
その男から逃げる様にして新幹線に乗って逃走して来た。
それは2度目の逃走である。
私が住んでいるのは北海道であり。
そして東京に行った。
それから逃げて来た福岡は相当な距離がある。
もう大丈夫だとは思っているが。
仮にも変な男にレイプ未遂に遭った私だ。
何というか恐怖心が拭えない。
「男の部屋に来ていて何だ」という話ではあるのだが。
私は嫌だったから逃げた。
「.....」
私は宏太さんの部屋に無理矢理入れてもらい。
そして宏太さんを見た。
でもそんな宏太さんは優しい感じだ。
やはり私の目に狂いは無かった。
だけど長居は出来ないな、と思う。
いつか全ての事がバレてしまうだろう。
「その時が来たらこの家を出ないとね」
そんな事を呟きながら私は部屋を片付けてから料理を作ったりお洗濯したりする。
もう2度と私は家には帰らないだろう。
その決意を固くしながら私は洗濯物を畳んだ。
そうしているとドアがノックされる。
ビクッとしながら私は外を見た。
「宏太さん。自治会費を.....」
そんなお年寄りの声がする。
私はその言葉にどうするか迷った。
そしてそのままスルーをする事にする。
この事は全て知らせないとな。
そう思いながらだ。
だがこんな声もしてきた。
「あれ?音がしたんだけどな?居ると思ったんだが.....」
私はその言葉を受けながら立ち去って行くご老人の音を聞く。
その姿を見ながら私は眉を顰めた。
長居は出来ないだろうな。
私は犯罪者だから、だ。
JKが家出?した様で可哀想だと思って拾ったみたいですが記憶にないです。 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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