第3話
少しずつ秋も深まってきた頃。
比較的、過ごしやすい季節になってきた。
やはり秋服の涼風さんは可愛い。破壊力やばい。と、前置きはここまでにして。
この
――麗羅が一週間も学校に来ない。
あいつは今までずっと皆勤賞だった。風邪を引いた日でも、「あんたに風邪をうつしてやる!」と意気込み、学校に来ていた。めっちゃ迷惑だったけど。
ウザい麗羅が学校に来なくて、気分が良いのは確かなのだが、一週間も休まれると流石の俺も心配になる。
「今日も藤崎さん、来ないね」
「だな。俺もちょっと心配だ」
俺と涼風さんは窓際で二人で喋っていた。涼風さんとのLINEのやりとりは、あれからも続いている。
――もし、涼風さんに間違えずに『好き』と送れていたら。
彼女は告白を了承してくれたのだろうか。
今の関係性はどんな風に変化していたのだろうか。
分からないけど、でも悔しい。
せっかく勇気を出して、『好き』と伝えられたのに……。
「藤崎さんと何か、あったの?」
「……」
言えるわけがない。
だから「ちょっと喧嘩した」と嘘を吐く。
「謝ったの? 謝らないとダメだよ」
「謝ったんだけど、地雷踏んじゃったみたいで……音信不通だ」
「早く仲直りできるといいね!」
ふっ、と涼風さんが微笑む。
その笑顔がずるい。男なら誰でも惚れてしまう。
***
週明けの月曜日。
ようやく麗羅が教室に姿を現した。
けど、俺は最初麗羅だとは気づかない。
彼女はいつもノーメイクでスカートは長め。黒髪ストレートのショートヘア。オシャレに気を配らない女の子だった。
でも今や、髪は明るい茶髪でウェーブになっている。瞳はぱっちりとしたふたえメイク。そして、チークで染められた、薄ピンクの頬が可愛い。スカート丈は短くなっており、シャツは腕まくりしている。
俺の知っている麗羅とは全くの別人だった。
久しぶりに学校に来たからか、それともイメチェンした彼女が可愛すぎるからなのか、皆の視線が一気に麗羅に集中する。
そして、麗羅は俺のほうへと近づいてくる。
「おはよ。杉崎。今日のあたし、可愛い?」
麗羅が俺のことを苗字や名前で呼ぶことなんて、一度も無かった。だから、目の前の少女が本当に麗羅なのか、判断がつかなかった。でも声は麗羅だ。
「お前、誰だよ」
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