佐藤蒼紀は昇山高校に通う学生であり、友達を作りたいと決めてきたとき野沢心という同級の女学生に出会います。彼女と出会ったことをきっかけに学園生活が彩られていきますが、また逆も然り。
彼らが出会った後に木戸愛来という少女と出会いますが、彼女のある過去は心のトラウマと関係しているようで……。
蒼紀の視点と心の視点から語られるお話の中、色々と気になるワードが上がってきます。気になるワードはちゃんと結びついて、一筋のあることに繋がります。
また少し心理学についても知れたりするので楽しいです。
不器用であるけれど彼らなりに歩む青春ストーリー。
一読してみてはいかがでしょうか。
友達になる。
単純なように見えて、難しいものではないだろうか。
本当の友達、分かり合える友達、共通の趣味がある友達。けれども、はっきりと人に私とあなたは友達と口にしたことはないのではないだろうか。
このストーリーは不器用な三人が高校入学を機に出会うところから始まる……のだが、出だしの印象は最悪だったのではないだろうか。
勉強に追い込まれて生きている蒼紀。
底抜けて明るい愛来。
思ったことを口にする心。
その三人の凸凹な組み合わせのようで、意外にも息はぴったり。
その三人に共通していた事が中学に関する事。過去に植え付けられた苦しみが、今もじわじわと迫ってくる。
いやあ、青春だな。と思う場面もあり、不意に心が苦しくなる場面もある。
けれども支えられる友達の温かさが、この物語の鍵だと思うんです。
こんなにも友達という言葉が響くなんて。
オススメです。