第四話 一緒に住むとやっぱこうなっちゃうの?!
「
なぜ、同じ屋敷にいるのに、一人で夜を過ごさなくてはいけないのでしょう。
「
姿だって、
そんなの、嫌でしょうよ?
「いいえ。」
澄まし顔の
「では、あたしは、
さっと
「さあ……、億野麻呂さま、いらして……。」
(あれ───? 良いのかなあ?)
やりにくさと、恥ずかしさを感じながら、
(二人とも妻だから良いのかな? でも、いくら姉とはいえ、他の
オレだって、恥ずかしいよ……。)
と
(あっ!)
驚いて背後を振り返ると、頬を紅潮させた
つまり二人の裸の
「夜着を脱ぎましたので、
邪魔はしません。お手伝いをさせてくださいな……。」
微笑む
「わっ! わっ! い、いいって! そんな手伝いいらないからぁ!」
億野麻呂は首をふって身をよじり、拒絶の意思を示すが、
「あん、億野麻呂さま。」
と甘い声をだし、億野麻呂の下から両足を素早く動かし、億野麻呂の首に両足を巻き付けた。
がしっ、と億野麻呂の首を太ももがすごい力で抱え込み、
「
「はい、お姉さま。」
「え? ちょっと───?」
「うわ、やめ……。」
と言いかけるが、それ以上の言葉を、
首に
頬に
唇には
いや、違う。
腰には密着してくる
背筋を這う
腹には
これは……、なんだ。
理解が追いつかない。
やっと唇が離れ、
「何もお考えあそばすな。」
とささやく。
もう、何日か夜を過ごし、億野麻呂の弱いところも心得はじめた
姉妹は、甘い声をだしつつも、その攻め方に一切の容赦はなかった。
四本の腕と二つの唇が、これでもかと惜しみなく億野麻呂に奉仕する。
億野麻呂一人では、やり返すのが圧倒的に足りない。
あまりの
「あっ、ゥふぁ……!」
声を漏らすと、姉妹は嬉しそうにため息をつき、
「もっと……。その声を聞かせてくださいまし……。」
「
と億野麻呂をさらに丹念に
あ、
これ。
無理だ。
こんな
母刀自に言われた、
───これは大変なことになりました。覚悟してるわね?
という言葉の真の意味が、身にしみた瞬間であった。
* * *
それから、
億野麻呂が夜、
翌日、
きちんと交互に、
始めは、
───これで良いのかなあ?
と。
しかし、毎晩、
───なら、良いんじゃない?
二人が、この笑顔を浮かべてるなら。
二人のこの笑顔を守る。
それが、
二人、喧嘩をしているところを見たことがない。
二人は、平等に扱われることを望んだ。
億野麻呂が、
「うあ、
と名前を間違えようものなら、
「あたしは
「はい、お姉さま!」
とガブリとやられ、億野麻呂は、
「きゃ───っ! ごめんなさいぃ!」
と悲鳴をあげるのであった。
ひぃぃ、これってオレ、どういう扱いなの、と、億野麻呂は心のなかで泣くのだ……。
「ごめん、今夜は無理。もう、本当、無理。」
若い億野麻呂といえど、そういう夜もある。
だって、必ず二発、しかもきちんと平等に、それが毎晩ともなれば、限界もくる。
正直にトホホ顔で打ち明けた億野麻呂に対し、夜着の姉妹は顔を見合わせ、
「うふふ。わかりました。」
「さあ、一緒に川の字で寝ましょう。億野麻呂さまは真ん中ですよ。」
と億野麻呂の手をとり、寝床へ誘う。
三人で寝そべると、真ん中に寝た億野麻呂に、そっと左右から撫でてくる手がある。
「うふふ……。」
「億野麻呂さま。恋うています……。」
美貌の姉妹は小声でささやきながら、億野麻呂の首を、肩を、胸を、腹を、夜着の上から撫でる。
ただ、するするとゆっくり撫でる。
そこに億野麻呂がいる。
それを確かめ、ただそれが嬉しい、とでも言うように。
ちょん。
「まあ。」
「ふふふ……。」
「さ、おやすみなさいませ。」
「眠りましょう。億野麻呂さま……。」
思い思いに、二人の
(寝返りができなーい!)
億野麻呂は嬉しい悲鳴を心であげつつ、
(ああ、こういうのも良いな。)
オレの大事な妻たち。
そう思い、安らかに眠るのであった。
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