グリーンピースの呪い
もちっぱち
呪いはいつもそばに…
「お母さん、これ食べられない!」
みかは、チャーハンの中から
丁寧にグリーンピースだけ探り出して、
お母さんの皿に乗せ始めた。
数えると10個はあった。
「あー、はいはい。」
「あれ、お母さん、怒らないの?」
「だって、言っても食べないでしょう?
食べようとすると嗚咽するし。
お母さんもそんな顔見たくないもの。」
「良かったぁ!」
「怒らないからって食べなくていいって
ことはないよ?」
「給食では頑張って食べてるもん。
いいでしょう?」
「仕方ないなぁ。」
「ごちそうさま!」
みかは、綺麗にグリーンピースだけ残して、
他は全て完食していた。
「まあ、いいか。」
お母さんは、ため息をついては
食器を片付ける。
翌朝、
「お母さん!」
「どうかした?」
台所にいるお母さんに声をかけるみか。
「大変!
おふとん汚しちゃった!」
パジャマのまま着てたかと思うと、
部屋に戻って確認するお母さん。
ふとんには、見事に世界地図が描かれていた。パジャマも、プールに入ったように
濡れている。
「何があったの?!」
「夢でね!
すごいでっかーい緑色の丸いやつが
10体くらい出てきて、
私に向かってポンポン飛んできて、
押しつぶされたの〜。
逃げても逃げても追いかけてきたの〜。
怖くなって目が覚めたら、
漏らしちゃった〜。」
「緑の丸いでかいやつ?
しかも10体?」
「怖かったよーーー。」
「みか、それは思い当たる節はない?」
「緑の丸いもの?」
「昨日、みかが残したグリーンピースが
夢に出てきて、
僕たちを残したなぁーーって
怒って出てきたんじゃない?
食べてあげないと
かわいそうだよ。
給食で食べられるなら
お家でも頑張ろう。」
みかは泣きながら、頷く。
「わかった!
お母さん、今朝のご飯は
昨日と同じチャーハンでいいよ。」
「ごめん、今、ベジタブルミックス
切らしてるわ。」
「えー、んじゃ今日の夜
また作ってね!
絶対克服してみせるから!!」
あまりにも夢に出てきたグリーンピースが
怖かったのか闘志を燃やして、
目をギラギラさせるみか。
学校が終わって、
その日の夕飯は、
チャーハンであることは間違いなかったが
今度はピーマンが入っていた。
「お母さーん。
これは、絶対無理〜。」
「えー、はいはい。わかりました。」
みかは、丁寧にピーマンだけ残して
チャーハンを完食した。
その日の夢にも何かが出てくるって
読んでる皆様には分かりますよね?
翌朝、
「お母さーーん」
また泣きながら起きてくるみかだった。
好き嫌いなく食べられるといいだけどなと
お母さんは思うのであった。
【 完 】
グリーンピースの呪い もちっぱち @mochippachi
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