閑話 シュタインとワグナー

70話 閑話 シュタインとワグナー


わしは、シュタイン。公爵家付きの錬金術師じゃ。


わしは今、驚いている。


なんと5歳のエルーシアお嬢様が大天才だからじゃ。


嬢ちゃんは、良い香りのする石鹸。

アルコール度数の高いアルコール

消毒液を作ってしまったのじゃ。


石鹸はあるのだが、お嬢が作った石鹸は汚れをよく落とし、しかも香りがとてもよい。

そして消毒液は、衣類を白くすることもできるというのじゃ。

そして何よりも、蒸留酒?といったかの? アレは、本当に喉が焼けるほどアルコール度数が高い。ワインを2回くらい蒸留すれば酒飲みにちょうど良い濃さになるじゃろう。

バルデマー様に相談したら濃いアルコール飲料を作ってよいということじゃった。

すぐに作ることにした。とても楽しみじゃ。


急ピッチで工房の部下達を使ってアルコール度数の高い蒸留酒や石鹸を作っていたところ、両陛下がお買い上げ頂けるということになったのじゃ。


それから工房は大忙しじゃった。


15年分くらい働いた……


数日後、工房を領地に作ることになった。

本来は一番弟子の為の工房だったが規模を10倍にした。

わしが、その二つをみる事になったのじゃ。

まだまだ忙しいとき、お嬢は家庭用の水洗トイレを作った。

そしてトイレと合わせて浄化槽をつくる!

嬢ちゃんはそう言ってわしをまた、地獄へ落とすのだ。


家庭から出されるし、尿や生活水を綺麗にする道具。それが浄化槽というらしい。

浄化槽の内部で、なんとスライムに、し尿や生活排水を食べさせる!!

嬢ちゃんがスライムをテイムしたからこそ出来ることじゃ。


嬢ちゃんは、水を汲み上げる為に風車を作った。

これもすごい、風で風車を回して、バケツをつけて水を汲み上げる。

下にある水を上にもってくるものを作られたのじゃ。

何処かの国にあると聞いたがこのようなものとは……

そして嬢ちゃんは、小麦や、そばを粉にするために風車の動きを利用した道具を作り上げた!その名は臼……

上臼? 下臼? とにかくお嬢の言った通り作るしかないな・・・

臼は人間の力もいらないし、馬で引くこともない・・・

風の力を利用して、動かす様に出来ている・・・

エルーシアお嬢様は天才だ!



そして、領地にあるお屋敷は嫌な匂いが全くしなくなった。

これは、王都のお屋敷や工場や工房にもつけなければ・・・

そして、なんと今度は、公衆浴場に集合(公営)住宅ときたもんだ。

わしは、またひたすら仕事するのであった。


ひたすら働いた結果、なんとわしのお手当が10倍になり、部下達も10倍以上なったのじゃ。

権限が超拡大してしまった。ただの錬金術師、鍛冶師であったのに。


わしは、エルーシアお嬢様について行こうと思ったのじゃ。

何せお嬢の発想は素晴らしくて楽しいのじゃ。

「ほ ほ ほ ほ」

(あ~しんど・・・)






私は、ワグナーただの御者だった。

妻は、エルーシア様の乳母であり、侍女のクラーラ

子供は、可愛くてクールなメリアだ。


私は数週間前に御者から、物流の責任者になってしまった。

そして、部下を多数抱えてしまった。


最初、私にこのような責任ある仕事が出来るか不安で夜も眠れなかった……


しかし、エルーシア様とお館様が部下を使うコツとか、仕事全般の段取りをしてくれた。

エルーシア様は本当に娘と同じ5歳なのだろうか?


エルーシア様が、作った消毒液や領民が製造したマスクを王都に輸送するのが最初の仕事だったが、今は、ベルティンに集合住宅や商業施設を作るためにヒーナ商会が買い付けた物資を王国内からここへ運んできている。

また、それだけでなく、農産物やシュタイン殿が作る新しいものも運んだ後、組み立ても私たちが行うことになった。

そして数ヶ月後私たち家族の家が、領地、王都ともお館様の隣に家を建てた。

収入も私だけで下手なお貴族様より多くなってしまった。


妻のクラーラが、エルーシアお嬢様の乳母になっただけで、ものすごい出世をしてしまった。


領地の家では、クラーラの両親と同居し、王都の家では、私の両親と同居することにした。これでどちらにいても生活が出来るようにと、エルーシア様がアドバイスしてくれたのだ。


エルーシア様。彼女は私達家族の女神様である。


――――――  ―――――― ―――――― ―――――― ――――――


新作 聖女の紋章の数百年後のお話しです。

魔法のなくなったその先に 【聖女の紋章 外伝Ⅰ】

https://kakuyomu.jp/works/16817330668704507098

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