第四六話 見てたよ

第46話



流行病になってしまった、住み込みの使用人を聖属性魔法で完治させて、大騒ぎになっている中、窓から声が聞こえてきました。


「恐れ入ります。門番がいらっしゃらないので、直接玄関に来ました。

私は、教会から来ました司教のハラグと申します。

前触れなく、突然の訪問申し訳ございません。

ご当主のリカード公にお詫びに上がりました。

どうかお目通しお願いいたします」


なんと、教会から数名の神職の人々がお父様に会いに来ました。


「みんな、わたしは教会からのお客様のところに行きますね。

体が楽になったと思うけれど、まだ、働かなくてもいいわ。

わたしが呼びに来るまで、このお部屋から出ないでね」


わたしは、ここで完治した使用人が他の者と接触して再び感染しないように、他の使用人を治療するまで待機させました。


そして、わたしは玄関から外に出てみると


「「「大変申し訳ございませんでした」」」

土下座する神官服を着た人々がお庭に集まっている者達の前で土下座しているのが目に入りました。


「私達の聖属性魔法は、微々たる力しかございませんが、エルーシアお嬢様に癒やしの魔法をいたしますので、どうか、どうか公爵様、お許しください」

そして、先頭をきっている女性が、

「いいえ、私はあの場にいたのに、メフェストの暴挙をとめることが出来ませんでした、いくらあの者が枢機卿だとしても、自分を棚に上げ私腹を肥やしているあの男をとめる、いいえ、処分するべきでした。

ですから、私が処分を受けますので、どうか、ここにいる者達に罪をきせないでください」

おそらくハラグという神職者は、頭を土につけて平謝りしています。


「いいえ、癒やしの魔法はいりませんわ」

お母様がズズッと前に出て、いつもよりずっと低い声で話します。


「そんな、お嬢様は、危篤とききました。

どうか、微力ですが、私達に魔法を行使させてください。公爵夫人様」


「ハラグ。私の夫の顔をよく見て」


「は、はい」

ハラグは、お父様はじぃっと見つめました。

「え? あんなに乱暴されたのに傷跡ところか腫れてもいないわ」


「ハラグ驚くのはまだ、早いわ。玄関の方をみて」


「「「ぇえええええ! お、お嬢様。エルーシアお嬢様」」」


わたしは、多くの視線を感じて固まってしまいました。


「どう、癒やしの魔法はいらないでしょう」


「は、はい。でもお嬢様は重度の流行病と伺いましたが」


「うーん。確かに重病だったのよ。

リカードが、教会に飛び込んで行くくらいにね。

でも、ふわっと浮いて、キラキラキラってしたら、超笑顔で、ベッドの上にエルーシアが立ち上がったのよね。

でも、クラーラにベッドの上に立つのは行儀が悪いって怒られていたけれど。ぷぷぷ」


お母様思い出し笑いはやめて。

わたしも主役生き返るって演出しようと超絶笑顔を作ったのに、クラーラに叱られるとは。

―とほほ


「エルーシア様。はじめました、私はハラグと申します。

教会では、司教でベルティンブルグ全体を管理しています。

質問してもいいでしょうか?」


ハラグだけじゃなく、教会の人達が全員、わたしを凝視しています。


「質問は受け付けません」


「ええ?」


「貴女は、先程も言っていましたが、あのオークおじさんがお父様を蹴っても、言葉だけで体を張ってとめようとはしませんでした。

母は、現場を見ていないので、許す雰囲気を出していますが、わたしは教会を許す事が出来ません。

だから質問を受け付けません」


「エルーシアちゃん。それは、あまりにも酷いと思うわ。

ハラグは、エルーシアちゃんの提案をのんでくれたのよ」


ハラグは無言のままこちらを凝視しています


「ハラグ。貴女は、領地の教育改革に賛同してくれたようね。

でもね。リカード=ベルティンブルグ公爵家の当主のお父さんが、教会のオーク枢機卿にいわれのないことを言われ、無防備にもかかわらず、蹴られ続けたのよ」


「待ちなさい。教会に行って起きた事などまだ、誰にも言っていないが、エルーシアちゃんは、みていたのか?」


「お父さん。うるさい。話に入ってこないで、わたしは今ハラグなど神職者と話しているのよ」


「いや。それにしても本当にエルーシアちゃんが、その場にいるように話すので気になったのだ」


「見てたよ。フレイヤ様と一緒にね」


「「「「「えええええええ!!! 女神フレイヤ様とご一緒に!!!!!  」

お屋敷のお庭がものすごくうるさくなりました。

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