第四五話 光って浮いているけれど手品ではありません

第45話



「エルーシアちゃんが光っている」

「エルちゃま。浮いている」

「おおお 神降臨」

「エルちゃん」

「エルーシアちゃん」


(うわ~。うるさいな。わたしが光っているってハゲてないわよ。

浮いているって手品じゃないからそんな事あるわけないじゃない?)


わたしは瞼を開けました。

(え?本当に光っているし、横になったまま浮いている)


《わたしの体、完全回復して完全無欠になーれ》

キラキラキラ キラキラキラ

いつもより多くの光るお星様に囲まれてしましました。


「「「「エルーシアちゃん!!」」」」

「エルちゃま~」

「エルーシア様」

「お嬢様!」


横になったまま、ベッドの上に着陸しました。

わたしは、みんなの声を聞きながら上半身を起こして、ゆっくりとベッドの上に立ち上がりました。


「エルーシア様、ベッドの上に立ってはいけません」

わたしの侍女のクラーラが泣きながら行儀が悪いと叱ってくれています。


グワッ 

グフゥ 

ギュウ 

グエ


メリアがわたしに飛びつき、お父様、お母様、ギャロン叔父様、ヘルマ様もわたしを抱きしめます。


「お父様。そのお顔」


「どうだ、エルーシアちゃん。いつもの通りイケメンだろう?」

ニカッと笑うお父様は、顔がぶくぶくに腫れて、包帯を巻いています。


《お父様の顔の怪我治れ》

ピカピカピカ

お父様が光に包まれてあっという間に怪我が治ってしまいました。


驚くみんなにわたしは

「クラーラ。グイダをはじめ、体調不良を起こしている使用人は大丈夫かしら」


「そ、それが」

クラーラとメリアなど使用人達は暗い顔になりました。

(え?もしかして死んだ・・・・・・)

「お嬢様、体調不良の使用人達は、一カ所に集めて寝かせていますが、息を引き取りそうな者もいます」

発言した使用人は顔を伏せて涙を流しています。


「わかったわ。案内して」


「しかし、エルーシアお嬢様も今回復されたばかりじゃないですか!」


「この緊急事態に、そんなのんきなことを言っている場合じゃないわ。

案内したあとすぐにお屋敷にいる人間をお庭に集めて。

一人残らずよ。もし、今外出している人がいたら、門の中に入れずに門番の部屋に待機させて」


「「「はい。エルーシアお嬢様畏まりました」」」


そして、わたしは病人が休んでいる部屋へ行きました。

(さすが、お父様かお母様ね。病人を一カ所に集めているのはグッドジョブよ)


ドアを開けそこにいるのは、すでに瀕死の状態になっている者ばかりです。

わたしは、部屋の中を左から右へ、右から左へと視線を動かしました。


(一番奥にグイダがいたわ。可愛そうに、熱があるせいか顔が真っ赤で息も浅くなっているわね。今、治療するからもう少し我慢してね)


《悪い奴らにかけられた呪いをときます》

ルーン文字が体から離れて、お部屋が一度漆黒になりました。

(へぇ。これは、解呪をした人間を呪うようにしているのね。

こんなくだらない)

《さあ、呪いよ。呪いをかけたモノに制裁を》

わたしは、窓を開けて教会の方を眺めました。

窓を開けたのと同時に部屋を漆黒にしていた煙のようなモノが教会の方に移動していきます。

その煙は教会に到着すると空に向かい、黒い雲のようになり、教会の空一面真っ暗にしました。

そして、そこからゴロゴロ ドーンっと雷が落ちました。

どうやらその雷は教会に落ちたようです。


(どうやら、あのオークおじさんは主犯じゃないのね。呪いをかけるように命じ、いいえ、洗脳されていたようね)

《さあ、真っ黒い煙いや、雲。この騒ぎを影ながら操っているモノに鉄槌を!》

その願いの後、教会上の闇はどこかへ移動しました。


しばらく経つとものすごく遠くで、バチっと静電気のような雷が誰だかに当たった気配がしました。

そしてすぐ、辺りが暗くなり、

ドーン ドーン と雷がわたしに落ちてきました。

(なるほどね。反撃してきた訳ね。でもね、わたしには雷は効かないのよ)

その雷は、わたしの右手からすぅーっと体に入って来ました。

(どうやら敵は、精神体のようね。少なくても今のわたしの雷のカウンターで左手を火傷したようね)

そして、わたしは目にみないのですが、大きな敵に一撃をおみまいし、敵の反撃をかわしたことにより、満足しました。


「みんな待たせたわね」

《完全回復》

ビッカー キラキラ ビッカー


「あれ?ここは何処」

「あれ?知らない天井だ」

「助かった」

「助かったのね」

ワー ワー ワー

お部屋の中はとても賑やかになりました。


「みんな、これで大丈夫よ。完治です。

でも、しばらくはこの部屋にいてね。ここにいない人を、一度魔法をかけるから、それが終わったら皆で集まってお話しなどをしてね」


「「「「「 はい 」」」」

そして、わたしは部屋の奥にゆっくりと歩きました。

「グイダ。辛かったわね。もう大丈夫よ」

「エルーシアお嬢様~」

グイダはわたしに抱きついてきました。


わたしとグイダを囲むように病人だった使用人達が集まりました。

「エルーシアお嬢様!ありがとうございます。」

「我らの女神エルーシア様ぁ~」

「ありがとう聖女のエルーシア様」

みんな大騒ぎです。

みんなでわーわー騒いだ後、ちょっと落ち着いたタイミングで窓から声が聞こえてきました


「恐れ入ります。門番がいらっしゃらないので、直接玄関に来ました。

私は、教会から来ました司教のハラグと申します。

前触れなく、突然の訪問申し訳ございません。

ご当主のリカード公にお詫びに上がりました。

どうかお目通しお願いいたします」


(え?教会の人間!)


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