見えない何かとの戦い
第四一話 フレイヤ様の悪口を考えるのも駄目な場所
第41話
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私は深い眠りについていました。
「陽菜」
「陽菜」
「エルーシア」
「エルーシア」
それは、とても透き通っていて、聞いていて泣けてくる声。
母さん。母さんなの?
ごめんね。母さん。わたし他の世界に住んでいるの。
もう親孝行できなくなっちゃった ――ごめんなさい。
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「エルーシア。起きなさい。エルーシア」
わたしはゆっくりと目を開けました。
「あ!知らない天井だ」
一度は言ってみたい言葉第一位(わたしの中で)を言ってみました。
「ちょっとエルーシア大丈夫?
って言っても大丈夫じゃ無いから、私が神の世界に連れてきたのだけれどね」
「え? 神 神様の世界」
私は、上半身をあげて周りを見ました。
「エルーシア。いや今は陽菜かしら。どちらにしても私に気づいたようね」
「え?フレイヤ様?」
「そうよ。ちょっと自分の手を見てご覧なさい」
私は、頭を左右に振ったあと、自分の手を見ました。
「大きい。 これって陽菜の手?」
「そうね。ここに連れてきた時、つまり精神体だけここに連れてきたのだけれど、貴女はまだ、陽菜の時の精神状態のままのようね」
「それって、陽菜の精神が、エルーシアに乗ったということ・・・・・・」
「うーん。陽菜、今は全部話す事が出来ないけれど、そのときが来たら絶対に話すからもう少し待っていてね」
(あれ?いつものフレイヤ様と違って悪ふざけとか一切しないのね)
「陽菜。私も時と場所と場面を考慮するわ。今はシリアスな時よ」
「もしかして、私の考えたことわかるのですか」
「わかるわよ。だってココは神の世界よ」
「あははは。そうですか。では、私が教えて欲しいこともわかりますよね」
「こんな真っ白で何も無い所だと落ち着かないわ。エルーシア。いいや陽菜かな。私に着いてきて」
私は、フレイヤ様に着いて歩いて?います。
?がついているのは、体がふわーっとして、飛行場などにある動く歩道のように勝手に進んでしまうからです。
そしてしばらく移動すると、真っ白な場所から景色が見える場所に出ました。
「陽菜(エルーシア)ここが、神界。ある一族の神が住む世界よ」
辿りついたそこは、中心部に大きな樹がそびえ立っています。
その大きな樹に向かってフレイヤ様が移動したので私もあとにつづきました。
「うわ~。広大な土地にきれいな池、いいえ湖かな?」
その湖の周りは、ものすごい程の草木が見てくれと言わんばかりに花や実を咲かせています。
その畔には幻想的な白い建物がありました。
その建物の前にフレイヤ様が立ち止まると私に手招きをしました。
「こっちよ。陽菜」
(私この世界でも死んじゃうの?)
などと考えていると
「死なないためにココに呼んだのよ。早くついてきなさい」
「はーい」(やっぱり考えていることが全て読まれてしまっているわ)
私はキョロキョロとしながらフレイヤ様についていきます。
でもここって
「中に入っても真っ白なんですけど」
「あら、考えをそのまま口にしたのね。
貴女も神になったら、ここの景色がわかるようになるわ」
すぅーっと動いたあと、フレイヤ様は立ち止まりました。
「陽菜。ゆっくりと腰を落としてごらんなさい」
私は女神様の言う通り静かに腰を落としました。
すると、お尻に何か当たりました。
「それは、ソファーよ。ゆっくりと座りなさい」
私は見えないソファーにゆっくりとお尻をつけて座りました。
(なになに。このソファー姿は見えないけれど、ふわふわで、もふもふ。座っているだけで幸せ)
「陽菜。あげないわよ」
「え? 欲しい。私これ欲しい」
「ふふ。結構余裕が出てきたみたいね」
「はい。このソファーが座り心地良いので、急に冷静になってきました」
「貴女が神になればもっと良いソファーに座ることが出来るわ」
「え~。一柱で、多くの人間や世界を視るのは無理です」
「ふふふ。今はそうね」
フレイヤ様は、笑顔で答えてくれましたが、再び真面目な顔になりました。
私は、背筋をピーンと伸ばし、彼女の言葉を待ちます。
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