第四十話 天使の笑顔をする小っちゃな悪魔が仕事を増やします

第40話



そこから、スライムちゃん達はものすごく働くようになりました。

今までのサボり癖が嘘のようです。


「シュタイン。シュタイン。いつまでも呆けていないでね。

これで浄化槽および水洗トイレを増やしても大丈夫ね」


シュタインは固まっていましたが、やっと動き出しました。


「おぅ。そうだな。これからガンガン設置していくぞ」


「ここにいるスライムちゃんとお屋敷にいるスライムちゃんを合わせると、一日に五カ所は増設出来るわね」


「おう大丈夫だ。便座と男性用の便器そして浄化槽は作り置きがかなりあるし、今も製造中だ」


「わかったわ。あとは下水道を作らないと駄目ね。

シュタイン冒険者ギルドに、土属性魔法を使える魔法師を募集してね。

基本料はギルドと相談して、あとは出来高でも報酬があるようにしてね」


「おう、わかったぞ。嬢ちゃん」


(下水道の作り方を説明しなきゃ)

「それと、以前に打ち合わせした水車も数台作っておいて。

それと、募集は公爵家の名前を使わないで、シュタイン名義で募集してね。

わたし目立ちたくないの」


ズッコー

シュタインとメリアがずっこけました。

因みにギャロン叔父様とヘルマ様は、固まったままです。


何を今更とうっすらと聞こえましたが、それを無視しました。


わたしは、シュタインに土属性魔法を使った下水道の作り方と、下水道を作る場書を説明しました。


説明が終わる頃やっと、ギャロン叔父様とヘルマさんが動き出しました。


「なあ。シュタイン。エルーシアちゃんは、いつもこんなにズバズバと指示を出していくのか?」


「だから、『天使の笑顔をする小っちゃな悪魔』と嬢ちゃんを呼んでいるだろう?」


「ああ、たしかにな」


「ギャロン叔父様、何を納得されているの。

二人とも意識が戻って来たので、お屋敷に帰るわよ。

コホン」


「あら。エルーシアちゃん。咳をしてしまって可愛そうにね。

はやく、お屋敷に帰りましょう」


ヘルマさんの一言でわたし達は、お屋敷に帰りました。



そして、お父様の執務室にて


「お父さん。水洗トイレの増産の目処がつきました」


「スライムちゃん達の事が、解決したのだな」


「フレイヤ様が、テイムを二度かけすると良いと教えてくれたのです」


「そ、そうか。女神フレイヤ様はどんなことでも知っていらっしゃるのだな」


「さすが女神様です。

お父さん、お母さんはまだ帰ってきていないのですか?」


ギィィ

そのときお母様が執務室に入って来ました。


「あら。エルーシアちゃん帰ってきていたのね」


「はい。お母さん。馬車に乗っていたときに見えたのですが、教会や治癒院の周りはものすごく人だかりに、なっていましたね」


「そ、それは本当か。アルーシャ」


「風邪をこじらせて、高熱を出したり、呼吸が苦しくなったり、体が辛くて全然動けないといった症状の病人が押し寄せていましたわぁ」


「アルーシャ。押し寄せていたではない。君は体も弱いのだから、そんな病気の溜まり場みたいな所に行ってはいけないよ。

それに、自分だけの体では無いのだから」


「領民の教育レベルを上げるためには、教会との連携が、必要なので今日行ってきたのだけれども、駄目だったかしらぁ」


「確かに、その通りだが、今はギャロンが来ている。末っ子で甘やかされてきたけれども、私の名代としても大丈夫だ」


「お父さん。お母さんが心配なのは、わかるけれど、最近は体が軽くなってきたって言っていたから、そんなに攻めないでください」


「いや。そういうわけじゃ無いんだよ」


「じゃ、お母さん。もしもの為に回復魔法と治癒魔法をかけますね」

《お母さんの体を蝕む、悪いモノどっかへ飛んで行け~。そして、もし病気にかかっていたら治ってね。 そして、お腹の子もげんきになーれ》

ピカピカ ピカー

わたしがピカピカと光り、その光は、お母さんを包みお部屋全体を明るくしました。

「エルーシアちゃん。なんだか体が温まってきているわ。とてもいい気持ちよぅ」


「それは、良かった。もし病気をもらってきたとしてもこれで大丈夫だね」


「「ありがとう。エルーシアちゃん」」


「いいえ、家族なので当然だよ。あとね、ギャロン叔父さんもここに呼んでくれるかな。

小麦などの作物のお話しをしたいの」



それからしばらくして


「おう。エルーシアちゃん、僕を呼んだかな?」

ギャロン叔父様が執務室に入ってきました。


「はい。

ここにいるベルティンブルグ公爵家での会議です。

会議の中身は、今後の農業についてです」


「「「農業について? 」」」


「そうです。

年々農作物の収穫量が減っているって聞いていたので、

その対策です」


「「「「対策?」」」」


「そうです。問題は、“連作”だったのです」


「「「連作?」」」


「今朝フレイヤ様とお話しする機会があったので聞いてみたのですが、同じ土地に同じ作物を植えていると畑が悪くなってきて年々収穫量が減るのは、女神様も知っているって言っていたの。

玉葱、トウモロコシや人参などの、例外もあるみたい」


「そう言えば、そうね。確かにトウモロコシは収穫量が減ったと聞いていないわ」


(農業関係は、実はお父様よりお母様の方が、理解力があるのね。お嫁に来る前に色々と勉強していたのかしら)

「コホンコホン。あ ごめんね。喉がイガイガしちゃって、それじゃ書いて説明するね」


そう言ってわたしは、今後の農業は、ノーフォーク農業について説明するのでした。


説明が終わるとなんだか体が重く感じます。

「こほん コホン。今日はちょっと疲れたので、もう寝てしまします」


わたしは、ギャロン叔父様に抱っこされて、ベッドに運ばれたのです。

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