第三一話 オーク将軍は、”おおくじぇねらる”と読んでね
第31話
「お姉さんすみません。解体してもらったオーク肉の一頭分を食べやすいように切り身にしてもらう事って出来ますか?」
「はい。手数料を頂ければ大丈夫です。
因みにどのくらいの大きさがご希望でしょうか?」
「うーんとね。炭火で網を使って焼いて食べたいの」
「なるほど。外でたべる焼肉みたいな大きさでいいのですね」
「うん」
「エルーシア様。外で焼肉にするならば、木炭と網とコンロ、お野菜がありますが、ご購入如何ですか?」
「あと、あれば、お塩と胡椒も買えますか?」
「はい。塩と胡椒はあるのですが、商業ギルドの絡みがあるので、商業のギルドカード持ちの方だけになってしまいます。
申し訳ございません」
「あっ。それならば大丈夫」
わたしは、ヒーナ商会設立の時に作った商業ギルドのカードを見せました。
「え!」
お姉さんはそう言ってカードを持ったまま動かなくなりました
「なにかありましたか?」
わたしが声をかけると、意識が戻ってきたようで
「エルーシア様って、貴族達に話題のヒーナ商会を設立した人なのですね!」
(そうか。ギルドカードに色々と情報が載っているからこれを見るとわかったんだ。気をつけないと)
「内緒にしててね」
わたしは、鉄仮面のような笑顔を、貼り付けお姉さんを見つめました。
しかも、瞳孔は開いて闇を演出しています。
「は、はい。私はギルド職員なので、会員の情報を外に漏らすことは女神様に誓ってありません」
お姉さんは、汗をぬぐっています。
「そうよね。これからも付き合いが長くなると思うのでお願いね」と声を出していますが、本当は(漏らしたらどうなるかわかっているわよね。貴女がお利口さんにしていれば、付き合いが長くなるけれど、話した場合はそれなりの対応をさせて貰うわ)
「はい。承知しました」
「それじゃ。昨日預けていた、魔石とオーク肉をお願いしますね 」
「はい。少々お待ちください」
どーーーーん
「え?エルーシアちゃん。こ こんなに?」
カウンターにはキンキラキンの山が出来ています。
「エルーシア様。メリア様。
昨日、こちらに置いていただいた魔物達の精算金額ですが、
ここに積んでいる金額になります。
金貨だけじゃ足りないので銀貨も混じっていますが、
手数料とオーク肉十頭分を引きまして、金貨五五五枚、銅貨は一二三四枚です」
「あら~。エルーシアちゃん。どれだけオークを狩ったのかしら?
駄目よ。あんまり狩っちゃうとオークいなくなっちゃうでしょう?」
(ああ、お母様とてもずれているわ。こんなキャラだったのね)
「あの~。確かに六〇体以上魔物を狩ってきましたが、多くありません?」
「エルーシア様。大きな理由が三点ほどあります。
一つ目は、オークだけでは無く、オークキングが二体。オーク将軍が六体ありました。
二つ目は、オーク大発生により、討伐依頼が重なっていました。
その討伐依頼が、ベルティンブルグ領地内だけでなく、王国の直轄地や、ハウスビッシュ領、ボロニア領などからも依頼が出ていたこと。
そして三つ目は」
「「「三つ目は」」」
「エルーシア様とメリア様が、とても可愛いからでーす。
因みに私は、お二人のファンクラブに入っています!!」
お姉さんは立派な胸をどーーんと突き出して、ドヤ顔です
(やばい、この人苦手かも。人見知りじゃないように頑張って話していたけれど、もう無理かも・・・)
わたしが、額から背中から大粒の汗を流していると。
「あら~。受付のお嬢ちゃん。あなたも、エルーシアちゃんとメリアの可愛さがわかるのね。
気に入ったわ。
あなたは今日からベルティンブルグ一家の専任受付嬢よ。
オーク肉を食べたらギルド長に言っておくわね。
そして、エルーシアちゃんを愛でるお茶会に招待するわ。
衣服や貴金属は気にしないで、私が用意するわ」
(ええ!辞めてお母様。わたしこの女性苦手になったの。もうこの人としゃべれないの! それにわたしを愛でるお茶会の話は聞いていないわ)
「エルちゃま。任せて メリア 話す」
「メリア。片言で無く、ちゃんとしゃべれる?」
「エルーシアお嬢様大丈夫です。この女性の前では、片言キャラを辞めますから」
ズッコー(わたしがずっこけた効果音です)
(メリア、キャラ作ってたの!)
「お母さん。わたしもう疲れました。
お屋敷に帰っていいですか?」
「あら~。エルーシアちゃん。
それは、疲れじゃ無いわ。
それは、お腹が空いたというのよ。
じゃあ、一度失礼しますね。
受付さん、また後で来るからそのとき話しましょうね」
「は、はい。お待ちしています」
そんなこんなで、わたしは、お金を冒険者ギルドに預けたのです。
因みに金額が多すぎるので、メリアは金貨二〇枚だけ受け取りました。
メリアの取り分の残りはメリアに内緒で、わたしとメリアのパーティーにもカードを作っていたので、こっそりそこに入金したのです。
お姉さんにお願いして、オークキングとオーク将軍のお肉を確保したのは、お母様に内緒です。
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