第三〇話 怒る母にサプライズと言って機嫌をとりました
第30話
昨夜は、お母様に、ものすごく怒られました。
でも、お父様が宥めてくれて、午前中お勉強を頑張れば、午後からは街の中ならどこに出かけてもいいと、許可をもらいました。
いつもなら、わたしがお母様の後をついて歩くのですが、今日はお母様がわたしの後を付きまとっています。
(後ろからついて歩かれると、本当にウザいのね。
お母様はわたしがついて歩いても笑顔でいられるって、よっぽど心が広いのね)
今日午前中最後のお勉強は、ダンスレッスンでした。
わたし一人では嫌なので、メリアを生け贄にして、一緒に練習しています。
正直ダンスは、メリアの方がすごく上手で、女性の方だけで無く、リードする男性の方も難なくこなします。
(ダンスが上手な上に、剣の扱いも上手で魔物もバッタバッタと倒す事が出来るって、どんだけ~。
メリアが男性なら絶対結婚するわ)
「さて、メリア。お昼ご飯を食べたら冒険者ギルドに行くわよ」
「取りに行く 魔石 オーク肉」
「ん?メリア。今、オーク肉って言ったわよね?」
「狩った 頑張って オーク肉、好き 奥様」
「あら? そうだったのね。私にオーク肉を食べさせるために昨日頑張って狩っていたから遅くなったのね。
昨日そんな事言ってないじゃない。
ちゃんと言ってくれたら、怒らなかったのに。
駄目よ。エルーシアちゃん、ちゃんと言わないと」
「 ・・・ ・・・ 」
わたしは目を泳がせた上に無言になってしまいました。
「サプライズ 奥様 オーク お肉」
「ああ、そのような事でしたのね。
ふふふ。さすが、私の娘と娘の侍女」
わたしとメリアが目を合わせアイコンタクトしていると
「さあ、二人とも何ゆっくりしているの?
すぐに冒険者ギルドへ行くわよ」
わたしとメリアは、お昼も食べていないのに馬車に連行されました。
「オーク お に く ♪
と ま と 煮 おにく♪
そ れ と も
素敵なステーキ♪」
お母様は超絶ご機嫌で、鼻歌じゃなく、大きな声で歌っています。
(こんなにオークのお肉好きって思わなかったわ。
ちゃっちゃっと熟成などせずに食べさせるべきだったわ)
「まぁ 奥様。とても危険な魔物狩りをしていた、お嬢様とメリアを咎めるべきではございませんか?
それに身重な奥様は、安定期に入るまでは、外出は控えなければいけないのでは、ありませんか?」
御者をしていたクラーラから突っ込みが入りました。
(身重ってやっぱり、妊娠したのね。
これは、出来るだけ孤児院の運営を急がないと)
「いいえ。クラーラ。
オークのお肉が私を呼んでいるのですよ!
何よりもオーク肉が優先です!」
わたしは、呆れかえるクラーラの顔と同じく呆れているメリアの目を見たあと
「その通りです。お母さん。オーク肉が冒険者ギルドで待っていますよ。
そのオーク肉を持って、シュタインの工房へ行きましょう。
そこで、お肉を直火で焼いて食べましょう」
「まあ。直火ですか?体の弱かった私は、調理されたお肉をテーブルでしか食べたことないわ。
エルーシアちゃんは、天才ね」
(こんなことで天才って言われても全然嬉しくないわ。
でも、孤児院の運営の件、お母様になすりつけようかしら)
「エルちゃま。悪い顔」
「そんな顔してないわよ。メリア
先日、シュタインにお願いしていた物が早く見られるから、楽しみなだけ」
「ふーん」
メリアの不審な視線をスルーして、お母様をどうやって、孤児院の運営をなすりつけるか考えはじめました。
カッポ カッパ カッポ カッパ カッポ カッパ カッポ カッパ
馬車は、爽快な音を立てて動いていましたが、ギィギィという音をしてからお馬さんの足音がしなくなりました。
「ヒャッホー。オークのお肉ちゃん、あとちょっと待っていてね。
アルーシャが今冒険者ギルドに着たわよー!」
お母様は、はしゃぎ回って、馬車から降りて走って行ってしまいました。
わたし三人は、はしゃぐお母様に驚き固まってしまいました。
しかしお母様は、走ってこちらに戻ってきて一言
「ねぇねぇ、入り口どこ?」
ズッコー
三人だけで無く、お馬さんまでずっこけてしまいました。
ちゃん ちゃん
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