第二九話 オークを狩る幼女コンビ

第29話


《雷さん。オークに落ちて》

ズッドーン!!

シュパパパパ

ドバーッ

わたしがオーク一頭に雷を落として、

メリアが、短剣で首を落とすという連携技です。


幼女コンビのわたしとメリア

今日は楽しく、オーク狩りです。

そこは、ベルティンの近くにある森の奥深いところです。

わたしは、一人で魔物退治をして、魔石をとろうとしていたのですが、

わたしの仕草がおかしかったらしく、それを察したメリアが

「エルちゃま 行く 一緒 メリア強い」

そう言って、ついてきてしまったのです。


わたしが言うのも何ですが、五歳児なのよね・・・


(あ!そう言えば、王都で解体してもらったオークまだ食べてない)


わたしとメリアは、首から上が無くなったオークをアイテムバッグにしまっているときに気づきました。


「ねぇ、メリア。王都で解体してもらったオーク。まだ食べないのかしら?」


「吊してた お肉 熟成 旨い」


(熟成させるために何処かで吊しているのね)

「そうか。楽しみね」


「いっぱい 狩った 沢山 今日も」


「確かに、今のオークで二四頭目ね」


「うん」


「でも、メリアがこんなに強いと思わなかったわ」


「戦闘メイド 母 教わった」

(お母さんは、戦闘メイドだから、メリアも必要になるから、剣や短剣の練習した)


(え、英才教育?)

「そうなんだ」


「Cランク メリア」


「あれ?冒険者登録は八歳からで無い登録できないはずじゃ」


「許可くれた お館様」


「なるほど、幼児の登録をすでにしていたのね。お父さん」


「護衛 メリア 命令 母」

(お母さんが、エルちゃまが、魔物狩りに行くから、メリアが護衛しなさいと言われた)


「なんだ~。 クラーラは、わたしの動きを先取りして、メリアを護衛するために指示を出したのね」


メリアは、親指をグッと立てて、サムズアップしました。


《オークの沢山いるところを教えて》

探索の魔法を使いました。

「メリア。一時の方向二キロメートルの所にオークが十頭いるから、一時の方向に移動するよ」

《わたしとメリアが、速く走れて、高く飛べて、動体視力も良くして、体力も全然減らないようにして》

ペカー

わたしは、自身とメリアに強化魔法をかけてちゃっちゃっと、オークの場所に行きました。


《雷~》

ズッドーン ズッドーン ズッドーン ズッドーン


タッタッタ

シュッパーン シュッパーン シュッパーン シュッパーン

ドドドドバーッ


十頭頭のオークはわたし達を気づくこと無く倒され、アイテムバッグにしまわれたのです。一頭はものすごく大きかったけれど、親玉かしら?




「ねぇメリア。わたしに短剣の使い方教えて」


「エルちゃま 教える 魔法」(エルーシア様、メリアが短剣の使い方教えるから魔法教えて)


「うん。いいよ。」


と、いうことでわたしは、魔法を メリアは短剣術をお互いに教えました。


でも、メリアは、攻撃魔法はあまり得意ではないようで、自分自身と触った者にかけることができる強化魔法と気配探知などが得意なようです。


わたしは、どんな感じかというと

タッタッター

ザク ジュボ ザクザク 

バターン

ピュー

「エルちゃま。倒した 短剣 オーク!」


オークなら短剣で倒せるだけの戦闘力を身につけたのです。

ってわたしも、メリアもチート過ぎる。


「エルちゃま。帰る 怒られる」


メリアのその声でわたしは、オーク狩りを辞めて、冒険者ギルドへ向かったのです。




「お疲れ様です。エルーシア様。メリア様。

それにしても、服が血まみれで真っ赤ですね」

とても整った顔をした女性の受付のお姉さんが対応してくれました。


ふっと周りを見ると、みなさん顔がひきつっていて、わたし達に近づく者はいません。


「買い取り オーク狩った 早く」


「はい、畏まりました。それでは、先ずは、面談室に移動してもよろしいでしょうか?」


「いいえ。わたし達は急いでいるので、このまま買い取りをお願いします」


「え! はい 畏まりました。

それでは、この場でお出しできますか?」


「ちょっと、倒した量が多いので、ここではちょっと無理だと思います」


「ふふふ。大丈夫です。討伐した魔物を全部だして大丈夫です」


(あ~。幼女二人が狩ってきたから、弱い魔物だけだと思っているのね。

まあいいや」


ドドドドーーーン!!!


「「「「「え ええええ え? え!」」」」」

冒険者ギルド全体が揺れました。


「ええ エルーシア様、メリア様

申し訳ございませんでした。

どうか、どうかこのオークをアイテムバッグにもう一度、もう一度しまってくださーーい」


あの綺麗なお姉さんは、ジャンピングしながら土下座をはじめました。

(この世界でも、土下座ってあるのね)


「エルちゃま。 片付ける 困っている 女の人」


「わかったわ。メリア、アイテムバッグ出すから片付けるのを手伝って」


わたしとメリアは急いで、狩った魔物達をアイテムバッグに入れていきました。


「エルーシア様メリア様、本当にありがとうございました」

お姉さんは頭を床にこすりつけています。


「もう大丈夫ですよ。わたしもメリアも別に怒っていません。

それよりも、急いでいるので、預かってくれるところを教えてください」


お姉さんは、サッと立ち上がり

「どうぞ、こちらです」

お姉様は、王都の冒険者ギルドの副ギルド長のマヤさんと同じ鉄仮面の笑顔で先導してくれました。


ドカドカドカー

わたしは、決められた場所にドカーと狩ったオークを山積みにしました。


「おお!なんてこったい!

こんな可愛いお嬢ちゃん達がオークを狩っただと。

しかもこんなに!」


頭がツルツルしていて、とてもごついおじさんが両手をあげています。


「ちょっと、この方達は、領主様のお嬢様とその側近よ」

「うっへー。申し訳ございません。

不敬罪で捕まえないでください」


「お二人ともさっきから言っていますが、もう時間が無いので、そんな小芝居に付き合っている時間はありません。

後日取りに来るので解体をお願いします。

あと、オークのお肉は一〇頭分、引き取ります。

魔石は全てわたしにお返しください」


「は、はい」


「では、よろしくー!」


ビューン ビューン

わたし達二人は肉体強化をして、道路を使わず、屋根の上を走り抜けました。


「はぁ はぁ はぁ う 薄暗くなってきたけれど、大丈夫よね。メリア」

《綺麗になーれ》

わたしは、服や人が綺麗になる魔法をかけました。


「きっと大丈夫ですよ。 メリアは先に家に帰ります。

では、エルちゅま。 お疲れ様でした」

ピューン と、ものすごい早さでいなくなりました。


メリアを見送って、ドアを開けて邸に入ろうと体をドアに向けたとき


「あら。エルーシアちゃん お か え り

どこに行っていたのかしら~」


ゴッツン


わたしは、アルーシャお母様に雷を落とされるのでした。

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