ベルティンを住みやすくしよう!
第二一話 まるで、鏡を見ているようですわ
第21話
わたしはいま 絶賛 ひ と み し り 中! です。
公爵家の大きな門をくぐり抜け、玄関前にワグナーが馬車を停めました。
「お嬢様。お屋敷に着きました。お疲れ様でした」
「やっと、やっと着いたのね」
(お母様元気かな?)
わたしは急いで馬車から降りて、馬車の下で待つお母様に駆け寄りました。
「お母さんだだ い ま?」
お母様だと思って飛びついたら、あれれ?何か違う・・・
白銀に輝く、ホワイトブロンドの髪、ルビーのように深く赤い瞳、白く透き通る肌、形がよくて柔らかい胸あれ? あれれ?お母様はもっと抱かれ心地がよかった? 細い!お母様にしては細い。
ちがうお母様でない、お母様と同じ顔を持った女の人・・・
「あ!」
と言ったまま固まってしまいました。
そしてお父様が馬車から降りてくると、わたしはピューンとダッシュでお父様の陰に隠れたのです。
そしてわたしは、お父様の陰からチラチラとお母様そっくりな女の人を見ます。
「やあ!レーアさんお久しぶりですね。その節はいろいろとお世話になりましたね?
この通りエルーシアちゃんは極度の人見知りですが、こんなに大きくなりましたよ。
同じ頃に生まれたリーサちゃんも同じく大きくなったのでしょうね」
お父様がそう言うと
「お久しぶりです。リカード義兄様。リーサは、エルーシアちゃん程人見知りではないですが、大きくなりました。 でも相変わらず病弱で・・・」
レーアさんはスカートの恥をつまんで軽く挨拶をしています。
(あ!この女の人は、産んでくれたお母さん?お母様にそっくりだけど、比べると顔色があまり良くないし体も細いな・・・)
「ほら、エルーシアちゃん。ご挨拶して。私の妹のレーア叔母さんよ。
そして、私と一緒に来たのは、貴女の従姉妹のリーサちゃんと、リーサちゃんのお兄ちゃんのライナーくんよ」
お母様がお屋敷から出てきて三人を紹介してくれました。
わたしは、プルプルとポヨポヨの二人を連れて、タタタッタと走ってお母様の陰に一度隠れました。
「「「ス、スライム!?」」」
その瞬間、馬車に乗っていた人以外が、スライムを見て固まってしまいました。
叔母様も、いとこ達も目を見開いて口をあんぐりしています。
「あら~?エルーシアちゃんがテイムしたのは水色の子だけじゃなかったの?」
お母様がスライムちゃんを交互に見ています。
「ああ!帰ってくる途中でこの赤いスライム、ポヨポヨもテイムしたのだよ。エルーシアちゃんは本当にすごいよな!」
なぜかお父様はドヤ顔です。
「あらまぁ。そうでしたのね。 それはそうとエルーシアちゃん。皆さんに挨拶をしてね」
お母様は陰に隠れるわたしを無理矢理引っ張り出しました。
わたしは、両手でスカートをつまみカーテシーをして
「みなさま。初めまして。エルーシアと申します。どうぞお見知りおきを!」
と言ってすぐに、お母様の陰に逃げ込みました。
「ふふふ。レーア、ライナーくんにリーサちゃん。この子はとても恥ずかしがり屋さんだからこれぐらいで許してあげてね」
そして、水色に光る髪に、青い瞳の男の子が一歩前に出ました。
「エルーシアちゃん。はじめまして、僕はライナー。リーサの2つ上の兄です。
リーサ共々よろしくね」
胸に手をあててお辞儀をしながら挨拶をしてくれました。
また、ライナー様の挨拶にあわせて、カーテシーするリーサは、一言で言えば、美少女?美幼女。痩せているけれど、シルバーに輝く髪は腰まであり、青いリボンがとても似合っていて、パチリと大きな瞳はブルーサファイアを思わせる色です。
(リボンの色を緑にして、ちょっと太らせればまるでわたしね)
ライナー様とリーサ様のお母様は、子供の二人を下げ、本人が一歩前に出ました。
「ふふふ。スライムをテイムするなんて、噂以上に卓越した能力を持つ子なのね?
私は、エルーシアちゃんのお母様の妹のレーアよ。
産まれてすぐ会って以来だから5年ぶりかしら?
さっきは私とお姉様(アルーシャ)を間違えたのね。
ふふふ」
とレーア叔母様も挨拶をしてくれました。
叔母様の嫁いだ伯爵家は、公爵家の寄子で今回の夜会の手伝いにきてくれたということです。
わたしを捨てた叔父様は今王都で仕事をしているそうで、夜会には参加されないようです。
わたしは、お母様とオッドリア伯爵ご一家の方にうがいと手洗いを教えてアルコール消毒液を手につける事も教えました。
わたしを捨てたお母さんか・・・
わたしが拾われるように段取りをつけてくれたという事は、頭で理解しているけれども、捨てたという事実が・・・なんだか心がモヤモヤするわ。
わたしは、どうしようもない感情をもち、お母様に隠れたままいたのでした。
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今日も愛読いただきありがとうございます。
作者のI。ランドです。
ここに来てやっとエルーシアの姿の描写をリーサを通して書かせていただきました。
そして、育ての母、産みの母の描写もありました。
結果、ベルティンブルグで生活している双子の片割れは、ふくよかで、レーアと、リーサは病弱で細いようです。
父親に捨てられた、エルーシアは、心に深く傷を負っています。
母と姉に再会して彼女の精神はどのように変化するのか、しないのか。
それとも、作者は全く無視して、領地の変化のみを描くのか。
皆様お楽しみに。
サポーター限定近況ノートを書きました。
https://kakuyomu.jp/users/yacchi1024/news/16817330666393948496
某投稿サイトからカクヨム様の引っ越し理由の作者の毒吐きが書かれています。
もし興味があれば遊びに来てください。
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