第二十話 青の次は赤!
第20話
第20話 青の次は赤!
ヘルヴェルの偽名から本名(エルーシア)に戻ってから数日後。
王都のお祖父様のお屋敷を出て、領地のベルティンブルグのお屋敷に、馬車で向かっています。
結局、王都には十四日間滞在しました。
王都にいる間、お父様は、ヒーナ商会の人の採用や運営方法などお祖父様とお話しして決めていました。
それに、工場の起ち上げなども重なり、ものすごく忙しく大変だったようです。
ヒーナ商会は、王都に一店舗と領都のベルティンに一店舗、お店を構えることにしました。ちなみに、王都のお店では、すでに店頭販もしています。
そしてマスクは、大量生産の為に、ベルティンブルグ領地内の無職などの貧民層は通年。農家は繁忙期以外に工場で働いてもらうことにしました。
冬場に生地を皆で作って繁忙期以外、時間に余裕があるときに自宅でも作れるようにするみたいです。
その工場を建てる予定地の隣には、真新しい工房があります。
実はこの工房、シュタインの一番弟子が使うために建築したものです。
ですが、工房のトップはシュタインになります。
しばらくシュタインは、お父様とわたしで、工場運営とヒーナ商会で販売する商品の大量生産をするため、ベルティンに来てもらいます。
そのためシュタインは、王都の工房とベルティンの工房と工場の責任者兼開発担当になります。
(シュタインが王都に戻るまでは、一番弟子が王都製造担当。二番弟子がベルティン担当です)
その工房でわたしは、消毒液を作るようになります。
海水は、オッドリアの海からリーニア河に舟を浮かべて運びます。
そして、メリアのお父さんのワグナーは、御者からヒーナ商会(及びベルティンブルグ領地内)の運搬の責任者になりました。
わたしはお父様に、冬場、工場に働きに来る人達の子供に、文字を教えることを提案しました。
日本で言うところの幼稚園や保育園みたいな感じで遊びながら学んでもらうイメージです。
そこで、家を継げない次男や三男などに色々な事を教えて、適性をみる為です。
体力のある者は兵隊に。学力がある者は文官になってもらう。お絵かきが上手な子は建築士や芸術家に。
領地が良くなるためには、領民の生活が良くならなければいけない。
そのためには、領地全体で教育をする。
そして、それぞれの得手不得手を確認して得意なことをいかせる職業に就いてもらうこと。
最初は、莫大なお金がかかりますが、10年後には、倍以上になって税金として回収できると思います。
そして、領民の生活に余裕が出来てくると生活費以外に余ったお金で服を買い、今行っている衛生用品も買うことになり、経済が回るのです。
もしかしたら、演劇、歌などの娯楽もできてくるかも知れません。
今は、農産物など第一産業が中心ですが、経済が回ると色々なギルドが領地内にたてられ、より領地が豊かになる。
生産した物を加工して販売できるようになる。
人や会社が集まり社会インフラを充実させる。
特に道路や、上下水道を充実させると、便利になり、また人が集まる。人が集まると税金が多くなる
税金が多くなると公共事業に予算を回すことが出来る。
そうやって領地を良くしていきたい。
先ず一番の目標は領民全員が文字の読み書きが出来るようになること。
足し算ができるようになることです。
(わたしの個人的目標は、温水洗浄便座。ウ○シュレットを開発して、おまるからの卒業です)
そのような話をお父様に馬車の中でお話をしました。
お父様は目を丸くしていましたが、わたしは、
「昨日、愛と豊穣の女神 フレイヤ様が夢に出てきてわたしにそのような知恵を教えてくれたの」
と言うとお父様は納得したような顔をしました。
(フレイヤ様の名前は絶大ね。でも、名前をかってに使ってしまってごめんなさい。フレイヤ様)と念じていると
((ふふふ。エルーシアちゃん心配しないで私の名前でよければ、どんどん使ってね。そしてどんどんこの世の中を変えていってね。
あでも、私の悪口はひろめないでね。
広めたら泣いちゃうから・・・))
という声が頭に響きました。
((え! フレイヤ様? ありがとうございます。これからも捨てられないように頑張っていきます))
心の中でフレイヤ様に応えたわたしは、まわりにフレイヤ様がいるのかな?と思いまわりをキョロキョロしてみました。
「エルーシアちゃん。どうした?キョロキョロして? お花摘みかな?」
お父様に誤解されましたが、それを利用して、
「うん」と答え、馬車を止めてもらって、クラーラとメリアを連れてお花摘みに行こうと馬車から降りました。
ポヨーン ポヨーン
なんと茂みには、真っ赤なスライムがいました。
一緒に着いてきたプルプルが、わたしの足下にきたり、真っ赤なスライムの所に行ったり来たりしています。
そしてスライムの二人はわたしを見て(いるような)ぴょんぴょんと跳びはねています。
「エルーシア様。テイム 真っ赤なスライム?」
メリアは二匹のスライムとわたしを交互に見ています。
「え!そうなのかな? じゃテイムしてみるね」
《スライムさんをテイムします。名前はポヨポヨ!》
⦅ポヨポヨはテイムされました⦆
頭の中で女の人の声がしました。
無事テイムしたスライムさんにわたしは
「貴女の名前はポヨポヨよ」といったら喜んでいるのか
スライム二人でぴょんぴょんと跳びはねています。
クラーラとメリアは、スライムちゃんをテイムした、わたしを見て、目を見開いて口をあんぐりしています。
(魔物をテイムするのは二度目ですけど、そうなりますよね)
わたしは
「お花を摘んで早く馬車に戻りましょう」
固まる二人を促しました。
(二人を動かなくしたのは、わたしですが)
わたしは、スライム二人を連れて馬車に乗りました。
「まっ! またスライムが増えている~」
お父様は、絶叫です。
「この赤い子は、ポヨポヨです。よろしくお願いします」
わたしはお父様に頭を下げました。
(水色のスライム。赤のスライム。次は黄色かしら?)
前世の信号機の色を思い出していると、馬車は動き出しました。
(あ!信号機は水色でなくて緑か~)
どうでも良いことを考えていました。
(あ~!あと少しでお母様に会える!)
わたしは、そう考えながら、スライムちゃん二人を撫でました。
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こんにちは。作者です。
王都編は、今日でおしまいです。
次回から、おままごと編 ではなく、社交編(お留守番)がはじまります。
エルーシアの5歳での物語の三分の一が終わりました。
最後に、ここで、地名の説明です。
王国 ⇒フーマ王国
王都 ⇒フーズ
公爵領⇒ベルティンブルグ
領都 ⇒ベルティン
アールーペーン山脈 ベルティン~見て北~北西
リーニア河 ベルティンブルグ領の西の境界線で、フーマ王国一二を争う大きな河
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