第十九話 ヘルヴェルは女神ではありません
第19話
シュタインに速攻でサングラスもどきを作ってもらいました。
そのサングラスをして、お祖父様とお祖母様とお城に来ています。
やっぱりお城は、公爵家のお屋敷よりも大きくて立派です。
広すぎてお城に入るまでも超時間がかかり、疲れてしまいます。
お城に装飾されている物が、華美なものだらけで、センスが全く感じられません。
しかも廊下が入り組んでいて、わたし一人なら絶対迷子になります。
わたしは、平民、それも商家の娘になりすましたうえに、顔にはマスクとサングラスをして変装をしています。
この顔をみた、メリアは指をさして大きな声をあげて笑っていました。
本当に失礼な奴(笑)
大きくて広いお城の廊下には、人が全然いません。
これなら変装しなくても大丈夫だったのではないかしら?と思うくらいです。
一緒に歩いているお祖父様もお祖母様もマスクをしています。
因みに二人は、サングラスはかけていません。
わたしは、サングラスをかけているので、某国民からお金を徴収している放送局の番組のブラ○モリのように、お城中をブラブラと歩いて見ようとしたら、お祖父様に止められました。
チョロチョロするわたしを宥めながらなんとか、王妃様や、2人の王子様のいらっしゃるお部屋に着きました。
そこのお部屋には、ベッドに横になり、呼吸も荒々しくしている王妃様、わたしと同い年くらいの男の子と少し年下に見える男の子も寝ています。
不敬になるからと、皆、マスクをとり、わたしはサングラスも外しました。
お祖父様は
「王妃よ。王妃達を治療する前にお願いがある。
今から、ここにいるヘルヴェルが治療するが、この娘のことは全て、国王にも秘密にすること。
これが条件だ」
王妃様は、うんと肯定しました。
「では、ヘルヴェル様。治療をおねがいします」
その声を聞いてわたしは、
《王妃様と王子様の中にいるウィルス死んじゃえ》
心の中で念をして右手を3人に向けて魔法を展開しました。
わたしの手からキラキラ光るお星様が出てきて3人まわりをキラキラと光りながらまわって口や鼻から3人の中に入っていきました。
そうすると、今度は3人がピカーと光りました。
3人は、呼吸が楽になったのか、息も安定しました。そして熱も下がったようです。
《王子二人お休みになって》
体が楽になった王子2人は、わたしをじっと見つめて
「女神様・・・」と呟いて眠ってしましました。
(あっ!眠ってしまったというよりわたしが魔法で眠らせました。起きているよりも寝ている方が、体が楽になると思って。
そして、王妃様と違って回復魔法は必要ないように思いました)
体が楽になった王妃様は、わたしをまじまじと眺めています。
しかしその顔はまだ生気がなく、病状も重かったことからか、ぐったりとしています。
お祖母様はそんな王妃様をみてわたしの背中を軽く押しました。それは王妃様に回復魔法をかけてあげてと、わたしに伝えているのだろうと思って
《王妃様の体力が元気になるくらいに回復して》
と魔法を発動しました。
わたしが金色に光り回復魔法が展開されました。
元気になった王妃様は
「ヘルヴェル様。命を助けていただき、
本当にありがとうございます。
私と王子3人は、決して貴方様のことを口外いたしません。
私に出来ることがあるならば何でもしますので何かご要望があれば話してください」
「では、このお城を消毒しましょう。そして公衆衛生に必要な消毒アルコール、消毒液(漂白剤)マスクをを使ってお城内を綺麗にしてください」
ヘルヴェルの偽名を使っているわたしは、手洗い、うがい、消毒アルコール、消毒液の使い方を説明しました。
そして、がめついわたしは、
「消毒液などは、ヒーナ商会からご購入ください」とさらに王妃様におねがいしました。
王妃様が、ヒーナ商会を王家御用達商会として取引をしていただけると決めてもらったので、そのお返しに、お城の中で働く人をガンガンと魔法で治癒魔法をかけまくりました。
次に、お城の中の殺菌もしました。
特に食器や人が触るところ、料理道具を念入りに、魔法をかけて、最後に井戸も殺菌しました。
こんなに魔法を使ったのに魔力が尽きないヘルヴェルに、王妃様とお祖父様達はビックリしていましたが、それを無視して最後までやり遂げました。
ですが、自宅で療養している人を治すことが出来ないので、熱や、咳、鼻水などある人は、14日間仕事を休むことを指示。
発症していない人は、病人に近づかないこと。
どうしても、近寄らなければならないときは、マスクをする事。そして手洗いうがいをよくするように指示しました。
あと使ったマスクは、煮沸、洗濯後、使うように話しました。
この後、お城では、流行病が急速に減りました。
数日後、わたしの指示に従わない貴族達に急速に、病が広がりました。
けれども、先日お祖母様に会って衛生商品を買ってくれた貴族の家庭では、病は広がりませんでした。
衛生用品を正しく使うと流行病に勝てると知った貴族達は衛生商品を争うように購入しはじめました。
そして王様が消毒アルコールなどを買い上げ、配ったことにより
平民たちも流行病がグッと減りました。
フーマ王国では、この流行病にかかる人数をグッと減らしたことで、国内で流行病にかかる者が、他の国に比べて少なくなったのです。
そして、ヒーナ商会の名が貴族達に知られるようになりました。
ヘルヴェルは、王族の病気を治し、流行病の広がりをとめる方法を王族に教え、王族は、ヘルヴェルに多大な借りを作ったのです。
ヒーナ商会は設立して数日で、ものすごい売上げを作ったのです。
※解説
バルデマーが王妃に王族としての言葉使いをしていませんが、今日は、甥っ子の嫁として接しているのでわざとあのような言葉使いをしています。
でも、どちらにしても王妃は王族なので、マスクとサングラスを外すことにしました。
マスクは、ベルティンブルグに工場をつくりますが、今回はすぐに必要になるので、ベルティンブルグ公爵家専属のお針子さんに依頼して作りました。
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