第十四話 消毒液をつくろう!

第14話


そこは、鉄くずや、見たこともないガラクタ・・・じゃなくって、見たこともない道具があちらこちらに山積みされています。

そして、なんと言っても、熱い。

秋なのに、ここは、真夏の日本のようです。

わたしは、お祖父様と、お父様の3人で、お祖父様お抱えの錬金術師(鍛冶師)のいる工房に来ています。

あ!プルプルもいるので3人ではなく、4人です。


ここに来るときに、オドベード叔父さんやコーエンが馬車に乗ろうとしたのですが、嫌がるわたしをみて、お祖父様が断ってくれました。

(お祖父様はわたしのミカタです! ふふふ)



わたしは、錬金術師のシュタインさんに、蒸溜酒と良い香りのする石鹸の作り方を教えました。

シュタインさんは、お祖父様(ベルティンブルグ公爵家)のお抱えの為、製造に必要な物や作り方など外部に漏れる心配はありません。

試作品を何度が作ってお屋敷にもってくる事になりました。



大人達3人(お祖父様、お父様、シュタインさん)とわたしは、この後作る消毒液(次亜塩素酸ナトリウム)は、作成したらここへ持ち込みガラス瓶に詰めて販売することにしました。


ポーションなどに使っている物に色を変えて作ってもらいます。

今から増産体制にはいります。


また、マスクは、王都で早急に必要なため、針子さんを雇って製造しています。しかし、大量生産するため、公爵領で工場を作りそこでシングルマザーや、貧しい人を雇って作ることになりました。



これは、わたしがお父様にお願いしました。

領民の生活レベレルをあげて、衛生面にも気を回すことができるようにするためです。


お祖父様とお父様は、新しく商会を興して、わたしの開発した商品を販売することにしました。

その商会名は『ヒーナ商会』です。


ヒーナ商会の裏ボスのわたしは、商品企画、製造を担います。

そして、表ボスは、お祖父様。王都での対応をします。

同じく表ボスのお父様はベルティンブルグ領での対応をします。

わたしが王国学院を卒業するまで、お父様が主に会社の顔になり、対外的にはお父様が対応します。

ベルティンブルグ領は、今まで農畜産物など第一産業が主流でしたが、ここで商業と生産向上に力を入れることになり、領地運営も大きく変わるそうです。


わたしの能力が役に立ち、これでわたしが捨てられる可能性はかなり減ったと思います。

(ああ 良かった え? 大丈夫よね? 捨てられないよね・・・)


数日後、海水(本当は湖水ですけど)が王都のお屋敷に届きました。

「う~ん。中々上手くいかない・・・」

自分の寝泊まりしているお部屋で雷の魔法を使って、消毒液を作ろうと試作しています。

陶磁器は電気を通さないと知らなかったため、海水を陶磁器にいれ、器の両端から電気を流していましたが全く上手くいきませんでした。

(電気を通さないのは、ゴムだけじゃないのね)

直接、海水に電気を通しても、水が飛び散ってしまって、この方法も上手くいきませんでした。

何か電気を通す媒体が必要かな?

「う~ん。電気を通す物・・・。 金、銀、銅・・・ お お金(硬貨)が電気を通す!」

わたしは、銅が電気を通すのを思い出して、お祖父様の所にいきました。


「じぃじ。お小遣いちょうだい?」

わたしはお祖父様をじっと上目遣いでお願いしてみました。


「エルーシアちゃんが、おねだりするのは、海水いらいだな」


とお祖父様はデレデレになってわたしに金貨を3枚くれました。

(5歳の子供に金貨ってどうなんだろう?

銅貨2枚で大丈夫だったのに)

そう思いましたが、

にっこりと0円の笑顔をして

「じぃじありがとう」

わたしはそう言って、ぽわーんと しているお祖父様を置き去りにして自分の寝ている部屋に戻りました。


お小遣いでもらった金貨を海水の入った陶磁器の左右から、両手で金貨を持ち海水につけました。

少しだけ、魔法で電気を流してみよう。

もちろん、《消毒液できてね》 と思いをのせながら・・・

そうすると、あら不思議、わたしはしびれることもなく、電気が流れ、海水が次亜塩素酸ナトリウムになったのです。

(強い匂いがするからまちがいないよね?)


このときわたしは、(聖女の紋章を持つ者ってチート過ぎる。これは気をつけないといけないな)と初めて思いました。

ちょっと遅いと思いますが、自分自身がちょっと怖くなりました。


「じぃじ。出来たよ~~」

わたしは大きな声を出してお祖父様を呼びました。


「おお! 例の消毒をする液体ができたのだね。エルーシアちゃんは天才だね。すごいね」

と言ってお祖父様は、頭を撫で撫でします。

使用人を通さずにそのまま来たと言うことは、お祖父様は、お部屋の前で待っていたのかな?


「じぃじ。このままだと、液体が変化しちゃうから真水で薄めたいんだけど、水属性魔法を使える使用人を貸して欲しいの。

その使用人に綺麗なお水をだして欲しいの」

(魔法でわたしが水を出してもいいけれど、タイムパフォーマンスが悪いわよね)


「エルーシアちゃん。ちょっと、待つのじゃ」

お祖父様は、誰かを呼びに行ってしまいました。


そして数分後お祖父様は、お祖母様を連れてきました。


(え!? お祖母様も魔法が使えるの?しかも水属性!)


お祖母様はデーンと、どや顔をしながら部屋に入ってきました。


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