第十三話 へぇ。お水がしょっぱい湖もあるんだ!

第13話


「ねぇ、じぃじ。海の水って用意できるかな?」


翌日、わたしはお祖父様に海水を王都のお屋敷やシュタインの工房に持ってくることが出来るか聞きました。


その理由は、次亜塩素酸ナトリウム。ドアノブなど人が触る所を殺菌するために必要だと思ったのです。


前世の記憶で、レストランのアルバイトで、ウィルスを殺菌するために漂白剤を使ったのを思い出したのです。


今、王都ではインフルエンザらしい症状の病気が流行っています。

市場に行ったとき、クラーラが以前より活気がないと言っていたのは、これが原因でしょう。

わたしは、王都に住む人達全員に魔法をかける事は、時間も魔力も無いため、これ以上病気を流行らせない為の対策を考えました。



「わたしは、漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を初めて作る人になる!」


わたしは海賊王になると宣言する麦わら帽子をかぶった主人公のように大声をだし、女神フレイヤ様に誓ったのです。


次亜塩素酸ナトリウムは、確か、海水を直接電気で分解させることで出来る。

そしてわたしは。雷の魔法が使える。

(誰が漂白剤つくるの)

「わたしでしょ!」

と脳内で質問して小声で答えました。

まあ。難しいことはわからないけど、これで出来ると強くイメージしたら出来るはず・・・ きっとできるかも?・・・ いやできて・・・。



さて、話を戻します。

「エルーシアちゃん。海水を何に使うのかな?」

「あのねじぃじ。きのう蒸溜酒でアルコール度数の強いお酒を造ったよね」


「そうじゃな」


「あれは、人間の手、指につけて使う物だけど、今度は、ドアノブやテーブルなど人の手が触れてついた悪いものを殺す液体をつくるの」


「ほう。そんな物があるのかい?」


(よーし。フレイヤ様を使って言い訳しよう)

「そう。昨日ね、フレイヤ様が夢に出てきて作ってとお願いされたの」


「ななな なんと 女神様が・・・」


お祖父様は目が飛び出るくらい大きくしてわたしを見ました。


そんな驚くお祖父様をみて、お父様は、

「お父様、これも秘密ですが、エルーシアちゃんは女神の祝福を受けているのです。その証拠に右手の甲に聖女の紋章が現れます」


近くで話を聞いていたお父様は、わたしの代わりに説明をしてくれました。


「フレイヤ様がおっしゃるには、流行病が起きると、神様が怒ったとか、何かの祟りだと言ったりするけれど、本当は違うって言っていたの。

ウィルスとか細菌っていう人の目には見えない小さなものが、口や鼻から人間の口に入って粘膜などにとりついて、体の中でその小さなものが増えていくの。

体はそれを頑張って体から出そうとして、免疫力を高めるために体温を上げて対抗するの。その結果、痰や咳、鼻水を出すのだけれど、その咳などにもウィルスがいるの。そのウィルスが、ドアノブなど人がよく触るところについて、それを触って手や指につくの。そして手や指についた物が、指を通して口に入って、その人が病気になるの」


お祖父様とお父様は頭の上に『?』が浮かんでいるのがわかるくらい、理解していないようですが、それを無視して続けます。


「そのウィルスを殺すためにアルコールや海水を使った消毒液が必要なの。

あ! あとマスク」


「じぃじ。ばぁばに綺麗な布が欲しいってお願いしてくれる?」


それを聞いてじぃじは慌てて執事に海水と綺麗な布を持ってくるように指示を出しました。


「ねぇじぃじ。

海は、ここから遠いから結構時間がかかるよね?」


「そうじゃな。海から持ってくるなら、かなりの時間がかかる。

だが、今回は、海の水と同じく舐めるとしょっぱい『聖なる泉』から運ぶよう指示を出したのじゃよ」


「聖なる泉?」


「ここから西には大森林があり、その大森林の南に精霊様を信教するガイスト王国があるのじゃ。

そこに、聖なる泉があるのでガイスト王国の許可をもらって塩水をもらってくる。

わしとガイスト王国は昔からいろいろと結びつきがあるので、湖の水をもらえるはずじゃ。

それが駄目なら、ここからオッドリア領に行き海水を持ってくる」


「え?でもそれなら最初から同じ国にあるオッドリアの海からもらって来た方が良くない?」


「それがな、エルーシアちゃん。

オッドリアの海は魔物や海獣が多くて危険なのじゃよ。

だから、聖なる泉から持ってくる方が安全なのじゃ」


「へぇ~。そうなんだ」


「そうなのじゃ。どちらにしても、王都からだとフーマ王国に行く道のほうが、整備されておる」


「そうなのですね。

ではじぃじ。わたしはそれらが揃うまで、魔力の調整する訓練をします」


「うむ。わかった。

外から見えぬところで訓練をするのだよ」


「うん。わかった」


わたしはプルプルを連れてお庭で魔法の訓練をするのでした。

外からはみえないけれど、使用人は見放題だけれどね。




___________________________________


【作者からのお願い】

ここまでお読みいただいてありがとうございます。

I.ランドよりお願いがあります。

この先の展開が気になりましたら、☆☆☆を★★★や☆☆★等に変えて一度評価していただくと励みになります。

どうかよろしくお願いします。


さて、今日は満月ですね。

読者様の中で今日オオカミ人間に変身される方がいれば、一言コメントお願いします(笑)


オオカミに変身できない方のコメントも待っています!


それでは、明日の15話で会いましょう。


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