第十二話 度数の濃いアルコールは飲んではいけません
第12話
「もう邪魔ばかりして、黙っていられないわ」
わたしは、スカートをつまみあげて、スタスタと出来るだけ、早く歩きます。
マダリン叔母様に会いに滞在している部屋に行くためです。
コンコンコン
「はぁあ~い」
ゆったりとした所作で、マダリン叔母様が、部屋に入れてくれました。
そこには、とても可愛い従弟のカスパーがメイドに抱っこされています。
カスパーは、わたしがチラッとみると
「ねぇね(おねえちゃん)。きのうはたちゅけてくれて、ありゅがぁとう」
と昨日のお礼を言ってくれました。
(うふぇ。カスパーマジ天使)
「カスパー。どういたしまして」
わたしは、カスパーがとても愛らしくて頭を撫で撫でしました。
カスパーは目を細めて嬉しそうな顔をしています。
人見知りキャラはどこへいったのでしょうか?
わたしはカスパーとプルプルをプルプルしたり、突っついたりして遊びます。
マダリン叔母様は、
「女の子が欲しいの~。やっぱり女の子は可愛いわぁ」
と言って、甘やかしてくれます。
オドベード叔父様とコーエンと違い、マダリン叔母様とカスパーはとても親しみやすい方々です。
叔母様もカスパーもニコニコとしていて、つられてわたしもニコニコした時間を過ごしました。
(あれ?わたしオドベード叔父様とコーエンのクレームを言うつもりで、お部屋に来たのに)
楽しかったので、すっかり忘れてしまいました。
廊下へ出ると、オドヘート叔父様とコーエンがいましたが、無視してそのまま部屋へ戻りました。
「さて、消毒アルコールを造りましょう」
わたしは、ワインを蒸溜します。
それを数回繰り返して、アルコール度数をかなり高くした物。そして、魔法で時間を短縮して作った石鹸を持ってお祖父様の執務室の扉の前に移動です。
コンコンコン
「じぃじ。入って大丈夫?」
「エルーシアちゃんか? どうぞ入りなさい」
わたしは、一度ドアを開けて、下に置いた石鹸と、消毒用のアルコールをもって中に入りました。
「じぃじ。昨日、話していた物、仮だけど出来たから持ってきたよ」
わたしは石鹸をお祖父様に渡しました。
「これは、石鹸と言って、手を洗ったり、体を洗ったりするときに使うの。
人間の手には、汚い物や危ない物が、いっぱいついているの。
その汚い物を落ちやすくする物なの」
わたしは、消毒用のアルコールを持ちました。
「じぃじ。こっちは、アルコール度数を、うんとあげたお酒。これは、汚い物や危ない物が手につかないように、洗った食器や道具に使って、汚い物や危ない物を殺すものなの。
それを消毒というの」
「ほうほう。どれどれ」
お祖父様の視線が、数度蒸溜したワインに固定されています。
その視線に疑問を感じましたが、石鹸とアルコールの実際の使い方を教えました。
「石鹸は、今日香草を買ってきたので、それを使ったものを作るね。
明日、それを使って湯浴みしてみて」
お祖父様は、石鹸や、消毒用のアルコールの説明を一通り聞いた後には、
蒸溜したワインだけでなく、石鹸にも熱い視線を向けました。
「エルーシアちゃんは、ギルドカードを持っているね。
石鹸とアルコールの製法を、我が家のお抱えの錬金術師に教えて作らせよう。
そして作った物を商業ギルドで登録をして販売してみようか?
もちろん、発案者として売上げの一部をエルーシアちゃんのカードに入金してもらおう」
「難しくてよくわからなかったけど、わたしに良い事なら。じぃじお願いします」
と頭を下げました。
本当は王都にいる間に自分で動いて、石鹸と消毒用のアルコールを造ってそれを錬金術師に委託して造らせて、商業ギルドに卸して、ベルティンブルグ領の改革のための資金にしようと考えていました。
製造⇒販売⇒お金をもらう というプロセスをお祖父様に提案してもらって、
(面倒な事をしなくて良くなった)と思って、ホっとため息をしたのです。
「あ!じぃじ。そのアルコール度数をあげたお酒飲んだら駄目だよ」
とお祖父様に忠告したら、お祖父様は、残念そうな悲しい顔をしました。
アルコール度数をこんなにあげてもブランデーって言うのかしら?
とわたしは誰も答えられないことを考えてしまいました。
___________________________________
【作者からのお願い】
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
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あと、ブランデーとワイン皆様は、どちらが好きですか?
私は、葡萄ジュースです。
みなさまのコメント待っています!
それでは、明日の13話で会いましょう。
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