第十話 え? わたしお酒飲まないよ

第10話 



わたしは、お父様と、オドベード叔父様とマダリン叔母様、従弟のコーエンと全ての使用人に、手を洗いうがいをするように指示を出しました。


そしてお祖父様にお願いをして、この屋敷で働いている人々全員あつめてもらいました。


お祖父様にお祖母様のお体が急に良くなったことなど、適当に話してもらい、わたしは、陰からばれないように、使用人達に魔法をかけました。



そして、お屋敷全体(食料や水を含み)を消毒するために、願いの範囲をひろげて、魔法をかけました。

すでに、いっぺんに多くの人間に魔法をかけたのですが、魔力が尽きることはありませんでした。むしろ余裕です。



「ふぅ。やっと終わった」

わたしは呟き、病気の流行をとめることを考えます。


(手洗い・・・ 石鹸を作ろう。あと消毒。

蒸溜酒を造って蒸溜をなんども繰り返せば大丈夫なのかな・・・)

お祖父様に道具を揃えられるか聞いてみよう!

ドタタタタ-

走ってじぃじの執務室に行きました。

コンコンコン

「どうぞ、入りなさい」

執務室は、お祖父様の他にお父様がいました。

わたしは、あざとく頭を傾げお祖父様をじっと見つめます。

「じぃじ。お願いがあるの。わたしね。手や体を洗う石鹸という物を作りたいんだ。

それでね、動物性の内蔵系の油と木等を燃やした灰等を用意して欲しいの。

それと、アルコール度数の高いお酒を用意して欲しいの」


「アルコール度数の高いお酒?」

「「エルーシアちゃんには、お酒はまだはやーい」」

お祖父様が言葉を繰り返した後、お祖父様とお父様二人で何故か絶叫します。


「ううん。わたしお酒なんか飲まないよ。お酒飲むくらいならジュースがいいな。アルコール度数が高いお酒は、消毒液という物を作るの。使い方と必要な理由は、モノが出来てから説明するね」

(動物性の油は、魔物でも大丈夫なのかな?

大丈夫なら今から冒険者ギルドに行ったらもらえるかな?

まあ、元公爵のお祖父様ならそんな心配しなくても大丈夫よね)

わたしは、そんな結論を出した後、作る日数があるか気になりました。

「お父さん、王都の滞在は、あと何日滞在するの?」


「5日から7日で考えているよ。エルーシアちゃん」


「うん、わかった。教えてくれてありがとう!」

(それだけ日数があれば、石鹸も消毒用のアルコールもつくれるかな?

石鹸って、この材料で作ると一ヶ月くらいかかかるって、生前のアルバイト先の店長が言っていたわね。

でも魔法で適当にやったら、はやくできるようになるね。

きっと!)


そして、楽観的なわたしは

「クラーラ。これから、良い香りのする植物を採取しに行きたいの。採取できるところまで案内してくれる?」


と聞いたところ、クラーラはお父様に


「リカード様、お嬢様をお連れして大丈夫ですか?」


クラーラは王都のお屋敷だと、お祖父様をお館様と呼んでいるようで、お父様をリカード様と呼んでいるようです。

きっとお祖父様を、大館様って呼ぶのが、煩わしいのね。


「お?おう。エルーシアちゃんの言う通りにしてくれてかまわない。強さは人一倍だから危険は無いだろう」


「リカード様。香草は、王都から出なくても市場へ行けば、購入出来ます。今の時間では販売していない可能性が高いので、明朝お嬢様をお連れします」


「ああでは、安全、安心だな。では明日頼んだぞ」


「はい、承知しました」


みんなにこれからすることをお願いしていると、後ろから


「エルーシア!メリアやお祖父様ばかりでなく、僕とも遊べ、命令だ!」


わたしはコーエンがいる事にビックリしてお祖父様の後ろへ隠れてしまいました。


お祖父様は、自分の陰にわたしが隠れた事がとても嬉しかったからか、お祖父様の顔が余所の人には見せられないくらいデレデレしています。


「コーエンよ。先程も注意したが、貴様の言葉遣いはなっておらん。

まず、エルーシアは公爵家の令嬢。つまり侯爵位相当じゃ。

コーエンは伯爵の令息。つまり子爵相応じゃ。

身分からいってコーエンは、エルーシアちゃんに命令することは出来ない。

それとエルーシアちゃんは遊んでいるわけではない、大人達に混ざり重要な話をしているのじゃ。

自分の感情を人に押しつけるのではない」


コーエンは、握り拳を作りブルブルと震わせて、涙をためています。

そしてお祖父様は、コーエンに目線を合わせて、


「コーエン。レディーには、そのような乱暴な言葉を使っては嫌われるだけじゃぞ。同い年で気になるのはわかるが、エルーシアちゃんは、今まで女の子としか遊んだことがないのじゃ。

優しい言葉で誘うことだ。母のマダリンに誘いの言葉を教えてもらうが良い」


お祖父様は、鬼のような顔を一変してとても穏やかな顔で、コーエンの頭を撫でました。


「お祖父様、叔父様、僕はお母様に聞かなければいけないことができましたので失礼します」と言ってコーエンは部屋を出て行きました。


その後お祖父様はオドヘート叔父様に息子の教育がなって言いないと、雷を落としました。


雷を落とすお祖父様をみて私は、本当はお祖父様と血がつながっているのかな?と思いました。わたしも、お祖父様も雷を落とすのが上手だから・・・



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