第七話 エルーシアちゃんと呼ばなければいけないらしい?
第7話
「「「え え え~~!」」」
と驚くみんなとは対照的に、スライムちゃんは、わたしにテイムしてと、ぴょんぴょんと跳びはねています。
お父様は、ぴょんぴょんと跳びはねるスライムちゃんを見つめ
「し 仕方ないな・・・ ちゃんと面倒見るのだよ?」
(お父様は本当にわたしに甘いのね)
お父様から許可をもらったのでわたしは
スライムちゃんに向かって
「あなたの名前は『プルプル』ね」
そう言うとスライムのブルプルは、再びぷるぷるしながらぴょんぴょんと跳びはねています。
きっととても嬉しいのだと思います。
弱冠、皆が引いている中、当の本人のわたしは、プルプルを撫でたり、軽く突っついたり、話しかけたりして遊びはじめました。
そうしていると
「スライムちゃんは、いがいと触ると清涼感があるのだな」
「プルプル ぷるぷる 可愛い」
プルプルは、人懐っこいので、お父様とメリアとも遊びはじめました。
そんな、わたし達幼女二人とおっさん一人を見てワグナーが
「お館様。そろそろ移動をはじめましょう。
王都に着きましたら、先ずは冒険者ギルドに行ってプルプルの従魔契約をしましょう」
いつまでも、プルプルで遊んでいる、わたし達にあきれたのか、ワグナーがお父様に進言しました。
「そうだな。そうしよう。な、ワグナー」
馬車を動かそうと準備を始めると、ハウシュビッツ家の面々が近づいてきました。
(スライムちゃんと遊ぶわたし達にあきれて近づいてこなかったのかしら?)
「兄上。お久しぶりです。助けて頂きありがとうございます」
「いや、オドベード。私が助けたわけではない。うちの可愛いエルーシアちゃんが、ものすごい魔法を使って魔物を倒した。
そして、スライムをテイムしたのだ。だからとってもすごい娘にお礼をしてくれ」
プルプルをテイムしたのは、叔父様達を助けたのと関係ないけれど、よっぽどわたしの事を褒めたいのね・・・ 親馬鹿ね。
「おお!エルーシア この・・・」
オドベード叔父さんが私にお礼を言おうとしたのをお父様が止めました。
「オドベードよ、恩のある私の娘を呼び捨てにするとはどういった要件だ!
エルーシアちゃんと呼びなさい」
その場はシーンとしました。
「エルーシアちゃん」とお父様はオドベード叔父さんの目をみて言いました。
「う ううん。エルーシアちゃん助けてくれてありがとう」
オドベード叔父さんは咳払いをした。
そうすると、叔母のマダリンと従弟のコーエンが礼を言ってきました。
「「エルーシアちゃん、ありがとう」」
わたしは、お父様に一度隠れて顔だけ出して
「いいえわたしは・・・」と言って恥ずかしくてまた、お父様の陰に隠れちゃいました。
「みんなすまんな。エルーシアちゃんは極度の人見知りだ。だから返事をきちんと出来なくてすまない。
そして、みんなにお願いがある。エルーシアちゃんが使った、治癒魔法と回復魔法は、ここだけの秘密だ。教会に知られると面倒な事になる。
エルーシアちゃんに助けられて感謝しているのであれば、このことを秘密にしておいてくれ。頼んだぞ。オドベード」
「「「はい、承知しました」」」
ハウシュビッツ一家の皆は返事をしました。
そこでわたしは空気を読まず
「ねぇおとうさん。アイテムバックをお持ちでしたよね」
「おお、中に入れると時間経過ないアイテムバッグを持っているな」
「オークのお肉は美味しいと聞きます。
どうせ冒険者ギルドに行かなければならないのですから、冒険者ギルドで素材の買い取りと、オークの解体をしてもらいましょう。
解体したオーク肉を持ってお母さんのお土産にしましょう。
おかあさん、オークのお肉大好きだって言っていたよ。
ね、クラーラ?」
「はい。お嬢様その通りでございます。アルーシャ様はオークの肉が大好きでございます。けれども今まで言った事もない冒険者ギルドの事をよく知っていますね」
といいながら、アイテムバックに、わたしが倒した魔物をしまっています。
「うん。使用人が話していたのを聞いていたよ」
わたしは慌てましたが素知らぬ顔を作りました。
そんな会話をしながら、全ての魔物をアイテムバックに入れました。
そして、マダリン叔母様が、コーエンとわたしの年齢が近いので一緒の馬車に乗ったら良いと提案してきましたが、わたしは、ブンブンと頭を振って拒否しました。
だって乱暴な男の子は苦手なのです。
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