第六話 青いスライムちゃん
第6話
「お と~~さ ぁぁあああ ん!」
空が急に濃い灰色の雲に覆われました。
わたしは、お父様を襲うオーク、オオカミそして一角うさぎを
眉間にしわを寄せ、目を細くして睨み、敵意を剥き出しにしました。
ビシッ
わたしは人差し指を天に向かって指さしました。
流れる魔力が、強いのか、わたしの髪が逆立ちます。
そしてその指を下ろすのと同時に
《雷さん。お父様に害をなす敵を一気に片付けて~》
と心で叫ぶと
ビガ、ビガ、ビカっと辺りが光り
どどどど どーん と、雷がオーク3体、オオカミ18匹、一角うさぎ4匹に直撃しました!
わたしは魔物が倒れるのも確認しないまま、お父様に向かって叫び声をあげながら走り出しました。
「ぅゎわわあああああ!ぉおおとぅさん~!」
お父様は、右脚から出血をして、頭からは激しく血を流しています。
わたしは、お父様をみて女神様に祈りを捧げました。
《フレイヤ様、わたしの大切なお父様を助けてくださいませ、
先ずは、解毒、そして、頭蓋骨などの頭の破壊された部分を治し、出血を止め、破れた皮膚、そして神経を治してください》
「えい!」
と大声を出すとピカーとお父様が光りに包まれ、出血がとまり、怪我した脚が元に戻り、折れて凹んでしまった頭蓋骨も元に戻り、傷跡もなくなりました。
それを見たわたしは、《お父様の体力を回復して》と願いました。
今度は、ピカピカと星がお父様の周りを飛びまわりました。
お父様は、そこで、目を覚まし、頭を振りながら起き上がりました。
「お父さん―― !」
わたしは大きな声を出し、お父様に抱きつきました。
お父様は、きょとんとしながらもわたしを抱き上げてくれました。
「お お父さん! 痛いところはありませんか?」
わたしはわんわんと涙を流しお父様に抱きつきました。
「お おう そういえば何処も痛くないな」
と言いながらわたしの頭を撫でながら、
「ワグナー。魔物達はどうしたのだ」
「お お館様。驚かないで聞いて頂けますか?」
お父様は、ワグナーをみて首肯しました。
「実は、エルーシアお嬢様が、雷の魔法を使い、魔物を退治してしまいました」
お父様は、ワグナーを見ていましたが、ゆっくりとわたしを、まん丸になった目で見て、
「雷だと!そんな魔法は聞いたことない、もしあるとすればかなりの上位魔法ではないか!」
「はい。た、確かにお館様のおっしゃるとおりです」
「もしかすると、私の怪我と体力の回復は、エルーシアちゃんが治癒魔法と、回復魔法を使ったのか?」
わたしは、コクンっと顔を動かしました。
「お館様。どうやらその通りのようです」
「そうか、やはりエルーシアちゃんは、聖属性魔法が使えたのだな。アルーシャが日々元気になっていくので、そうではないかと薄々思っていたのだよ。
何よりも右手の甲に聖女の紋章がでている事があるからね」
お父様は、再びわたしの髪がくしゃくしゃになるほど撫でました。
「お父さん、今まで隠していてごめんなさい。
こんなに魔法が使えると気味悪がられて、お父さんや、お母さんに嫌われると思ったの。
今まではこっそりとお母さんに回復魔法と治癒魔法をかけていたの。
でも雷がドカーンと落ちる魔法は今日初めて使ったの」
「エルーシアちゃん。私もアルーシャも・・・ いや、クラーラもメリアもワグナーも、エルーシアちゃんが気味悪いって絶対思わないぞ。
なんて言ってもエルーシアは私たちの可愛い娘なのだから」
そう話していると、クラーラは、馬車を移動してわたし達の近くに止めて
メリアと手を繋ぎながら馬車から降りて、わたしに飛びつきました。
「「エルーシア様。すごい!!!」」
二人はそう言ってお父様からわたしを奪い取り、揉みくしゃにしました。
わたしは「いや~!」といいながらも笑顔でいます。
少し落ち着いたところで、
「ねぇ。お父さん。わたしの横でプルプルしているスライムなんだけど・・・
うちで飼っていい?」
ベルティンブルグ家のみんなは
「え え え~~?」
と声をあげてビックリしています。
(みんな顎外さないでね!)
そんな事を考えてみんなを見ていた、わたしでした。
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