第一章 生活水準を上げるよ
第一話 女神フレイヤ様登場!?
第一話
パチリ パチパチ
わたしは、接着剤でくっついていると感じるほどの重い瞼をあけました。
(あれ?真っ暗! わたし目を開けたのよね?)
わたしは、瞼をパチリパチリと開け閉めしました。
(あらら。やっぱり真っ暗ね)
それに、なんだか体全てが温かいものに包まれている?)
(確かに、暴走トラックが、わたしに近づいていたわ。
それなのに、瞼を開けると、辺りは真っ暗で、さらに温かいモノに包まれている?)
混乱するわたしは、気持ちを落ち着かせるように、目を閉じて考えることにしました。
(しまった。ここは、「あれ?見たことない天井だ」か「ここはどこ?私生きているの?」って言う場面だった)
(「ここはどこ?わたし生きているの?」ってお母さんがよく歌っていたわ)
グッスン。
(本当に、ここは、どこなのかしら?教えてお爺さん)
お爺さんって、誰?)
ふざけているわけじゃないわよね。
わたし、はもう一度目をつぶります。周りを意識して考えます。
病院・・・
では、ないわね?
この温かい物に包まれて、
真っ暗でなにも見えなくて、
あれ? わたし呼吸していない・・・
でも全然息苦しくない?)
(わたし生きているの?)
やったー! 作者のI。ランドさんに頼まなくても昭和のアイドルの歌詞が言えたわ。
ひとり心の中で騒いでいると、ふと近くに人の気配を感じました。
「・・・ ・・・ 」
近く(いるはず)の人に話しかけようとしましたが、上手くしゃべれません。
こ、声が出ないわ。
わたし呼吸していませんから!
ざんねーん!
(ふざけていると先に進まないわ)
私は思い直しました。
声が出せないことが、わかったので次は、触れてみようとしました。
けれども、手が届きません。
(言葉も出すことも出来ない・・・
手も届かない、小さくなっている・・・
仕方ないから、現状把握が最優先ね)
深く考えていても、わからないので、考えるのをやめました。
とりあえず、出来る範囲で自分自身の状況を調べてみることにしよっと。
(お腹に紐がつながっている。わたしを包む液体はきっとお水ね)
(お腹に紐?そしてまわりは水?)
もう一度手を動かしました。
(あれ?なにか壁に囲まれている?)
そう思いつつも耳を澄ましてみると、手足の動きを邪魔している壁のようなモノの向こうで、何か音が聞こえてきます
「△□○○~△」
(お水に囲まれて、呼吸をしなくても大丈夫、へその緒?
もしかして お母さんのお腹の中???)
(えええ? わたし赤ちゃんになっているの!?
どうしてこうなった!?)
さすがに、驚いて手足をバタバタしました。
(まだ生まれる前の、赤ちゃんになったのかな?
ということは、近くの人は、姉妹か姉弟になる子かな?)
(お姉ちゃんが、あなたを立派に産まれさせてみせるわ!)
近くにいる人を勝手に妹か弟として、お姉さんぶることに決めました。
(じゃ。周りの状況を調べて、先に情報をつかんで、お姉さんぶりましょう)
わたしは、頭の中で
「妹ちゃん。わたし達がさぁ。お腹いる時覚えている?」
「ううん。覚えていないわ。お姉ちゃん」
「そうでしょう?でもね、わたしは覚えているのよ?」
「お姉ちゃん。すご~い。天才」
「ふふふ。すごいでしょう?」
と一人芝居をして、妄想していると
「△□○○ △○○□」
なにやら音、いいえ声が聞こえてきました。
わたし気づいちゃいました。
どうやら、ここは日本ではないことに。
何故って?
外から聞こえる言葉がわからないのです。
《ま 負けてなるものか! 言葉、絶対おぼえるわ!》
わたしは、必死に外から聞こえる声を聞き、少しずつ言葉を覚えようと決意したとき、なんと!お母さん達が話している言葉の意味が、
(わかる。解るようになったわ)となったのです。
すっご。わたしすごいと自画自賛し、これは、きっとチート これが、チートなのね!
これが、高校なら外国語は余裕ね。もしかしたら宇宙人の言葉もわかるかも。
知らない言葉がわかるって、転移したラノベの主人公じゃないの よ?
(わたし、魔法が使えるかも?)
(そうよ。魔法なの、視るじゃなく、感じるのよ。わたし。相手の気を、命を感じるの)
何かの武道家みたいですけれど、違いますから。
《となりに感じるモノの正体を教えて》
(むむむ、たぶん・・・ 女の子 しかもとても可愛いい)
そうです。
見ることは、出来なかったのですが、気配を察知して見えないモノでも姿や形さえもわかるようになったのです。
それだけチートなのです。
よし!女の子に声を・・・ 念波を送ってみよう。
(あ!でもわたしが言葉を覚えても、女の子が言葉をわかるとは、限らない・・・
しかも産まれる前だから、意識があるのかも疑わしいわ)
衝撃的事実です。
(まあいいや)
と思って、とりあえず、声をかけようとしたところ
ん?なんだろう。急に様子がおかしくなってきているわ。
女の子の側の水が冷たくなっている?
女の子の体温が下がってきているのかな。
心臓の音も聞こえづらくなってきた?
これ、本当に女の子の命に危機が迫っているみたい。
それに、お母さんの呼吸も、心臓の音も速くなってきている。
うわ~ぁ!わたしの体の向きが変わったような。
これは、お母さんが倒れたのね。
(危機的状況?)
隣の妹を無事に産まれてもらうと決めたので、何か出来ることがないか右の眉毛と左の眉毛がくっ付くくらいに考えました。
ああ、わたしには、なにも出来ることがないわ。
とりあえず祈ってみましょう!)
《隣の子体よくなれ~》と念じたら
ペカー
と辺りが光り始めた感じがします。
すると
隣の女の子は元気になりました。
そしてお母さんも呼吸や心臓の音が落ち着きました。
(あれ? 魔法使えるみたい。やっぱり、チートなのかしら?)
と思った数日後
意識の中に、とても綺麗で慈愛に満ちた顔をした女性が現れました。
ペッカー
『陽菜、はじめまして。
私は、神々のアイドル『女神フレイヤ』
この世界の人間には『愛と豊穣の女神フレイヤ』と呼ばれているの~。
でもね、愛と豊穣だけじゃなくて、“戦い” “生と死” “魔術”も司る天才の超絶美人の女神様よ。
いい。陽菜。私自身の押しは、“美”なの。
そこは、必ず覚えておいて、定期テストで出しますから』
(うわぁ。なんだかウザいのが出てきた。面倒にならなきゃいいけど)
『どうして、私が美しいかって、それはね、私が微笑んで見つめるだけで男性は、プロポーズしてくるのよ!
美しすぎるのも辛いわ~』
(残念女神様の登場?)
ああ。確かに、出るところが出て、引っ込むところは引っ込んでいるわね。
顔も小っちゃくて、ラノベの表紙に出てくるような美少女・・・美人さんね。)
「それで、あの・・・」
声をかけようとしたところ、かぶせるように、フレイヤ様は
「陽菜 私が、この世界に転生してもらうため、貴女の魂を呼び寄せました」
フレイヤ様は、鼻の穴を膨らませ、手を腰に当てて胸を張っています。
コクコクコク
(急に真面目なテンションになったわ)
わたしは、鬼気迫るフレイヤ様の発言に思わず、首肯してしまいました。
(わたし、(陽菜高校3年生)は死んでしまったのかしら?
最期は全く覚えてないな・・・・・・。
一緒にいた結衣や店長は、大丈夫だったのかな?
それにしても、お母さんや家族にもう一度会いたかった・・・)
と感傷に浸ろうとしていたところフレイヤ様は
『貴女には、祝福と加護を与えます』
ピッカーと周りが光りました。
『その証拠に右手の甲に私の顔を投影しました。
これは、『女神の祝福』と言うものです。魔法を使うときや、魔力をねると私の顔が浮き上がります。
これを『聖女の紋章』と言います』
『聖女の紋章?』
顔を傾け、右手の甲を見ました。
確かに、フレイヤ様そっくりな女性のお顔が投影されています。
(あら、目もしっかりと見えるようになったのね。
周りが明るいからかしら?)
そして、女神様は話を続けます。
『私の祝福を得た陽菜は、数日前に使っていたように、聖属性魔法が得意になります。そしてイメージすることで回復や治癒魔法の他にも、攻撃系、サポート系関係なくほぼ全ての魔法を使うことができるの。
しかも、その魔法の効果を魔石などに移して魔導具を作る事もできるのよ。
そして陽菜は、この世界には無い魔法も作り、それを行使できますわよ。
イメージするだけで、新しい魔法をつくることもできるの。
そして、新しい魔法はルーン文字を使うことで魔導具もできるわ。
ふふふ。これは、おまけね』
バチンと魔術を司る女神様はウインクをしました。
「え?この世界にすでにある魔法を使えるうえに、イメージして新しい魔法を作る事が出来る?」
『その力を使ってフーマ王国を含めこの大陸を救ってほしいの。
平成に生まれ、令和に育った貴女なら何も考えなくても、心の思うままに行動すればきっと救えるはずです。
陽菜自身が望むように世界を変えてください。
もし、貴女が悪の道に進んだとき、行き過ぎた事をしようとしたときは、私が貴女に警告するわ。
ですから思いのままに、この世界をかえるがいいわ』
コクコクコクっと頭を動かしました。
『ふふ。ありがとう』
急に、フレイヤ様は真面目な顔になりました。
『そしてごめんなさい』
わたしに向かって頭を深く下げました。
口を開けたままのわたしにフレイヤ様は
『この先、あなたに、不幸が訪れるの。
フーマ王国の海のある伯爵領に産まれるのですが、生まれたからすぐに不幸にあってしまいます。
ですが、悲観しないでください。貴女の産みの母親が対策をしてくれます。
最悪の場合は私がなんとかします。
それでは、時間です。新しい世界に旅立ちなさい!
私はずっと貴女を見守っていますよ』
愛と豊穣の女神フレイヤ様は、わたしの話を一切聞かずに、光の中に消えてしまいました。
「ちょっと~。 ちょっと待ってください!!!!!!」
(わたしにも色々と質問させてよ。
好きなことだけ言い放って。
フレイヤ様は、我が儘なのかしら?)
べかー☆
しかし、また光が強くなりました。フレイヤ様が再び現われたのです。
『陽菜それともう一つ、私に困ったことが起こったら私の力になってね。
じゃーねー♪』
そして、美の女神様はバチンとウインクをして今度こそ消えてしまいました。
(フレイヤ様の加護をもらう前から魔法を使えたけれど・・・。
まあ、細かいことは、気にしない、気にしない。
どうせ考えても、わからないし。
でも、大陸を救ってください っておっしゃっていたわ)
「わたしは、大陸を救う『英雄』なる!」
そのためにも今から、魔法の練習をしなくっちゃ!)
わたしは、右手の甲に浮かぶ、聖女の紋章を見て、わたし自信と、隣にいる女の子とお母さんに回復魔法と、治癒魔法をかけまくったのです。
(産まれてすぐに不幸に見舞われるってどんな不幸なのかしら?
最悪の場合フレイヤ様が介入してくれるみたいだから、心配しなくていいのかしら?)
そんなことを呟きながらさらに数日が過ぎました。
※いろいろな二つ名の女神の名前が出ましたが、全てフレイヤです。
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