不自由の女神

 狭い浴槽に無理やり二人の大人が入ると当然のようにお湯はあふれだし、密着した体に自由はない。僕はひたすらわかばさんの後頭部を視界に収めながら、聞いたこともない鼻歌を歌う彼女の声に鼓膜を震わせていた。


「どこまでやったんだい?」


「なにがです?」


「出張先でのラブロマンスのことだよ、とぼけたってダメ、きみの役立たずのそれ、そうさ、今私の尾骨あたりにあたってるふにゃふにゃの一本松は元気になったのかい?」


「残念ながら、何も?」


「そうかい、ならベッドには行ったってことだ。墓穴を掘ったねぇ」


 顎を上げて背中を反ると彼女の瞳が僕をとらえていた。


「おっぱい触る?」


「触っていいなら」


 言われるがまま僕の両手は彼女に覆いかぶさって、その膨らみに触れた。


 久しぶりに手の平へ収まったわかばさんのおっぱいは、気持ちばかり大きくなっていた気がする。


「その人とどっちが良かった?」


「だから何もしてないですって」


「信じられないなぁ、きみはよく誤魔化すからねぇ」


 人を馬鹿にするすかし笑いで言うものだから、さすがに腹が立って人差し指の腹で乳首を探ってやった。


「っぅん」


 不意打ちに対応できなかったわかばさんの短い息が漏れる。


 彼女は急に立ち上がってこちらに正面を向けた。


 ちょうど彼女の陰部が目の前に飛び込んでくる。


「今のは頭に来たよ」


 声のトーンが変わった。


「すみません、調子にのりました」


「いいや許さないよ」


 すぐに謝っても彼女の怒りは収まらない。


「罰として私の身体をあらいたまえ」


「あぁはい……あのあかすりは?」


「そんなものは捨てたよ、古くなっていたからねぇ」


「じゃあタオルで背中を」


「きみがあかすりの代わりをしたまえよ」


 わかばさんはだらしない笑みを浮かべながら命じた。



 

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おっぱい揉ませてわかばさん 宇佐美スイ @okure

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