エピローグ 未遂の過去改変

複製前のゲートウェイを破壊した直後、元々の管理AIからは怒声が飛ぶが、この瞬間に何か変わった感覚というのは何もなかった。……過去の実験の結果、世界線が変わっても本人は知覚出来ないから感触を当てには出来ないけど、たぶん変わってない。


これで、新たに世界線が分岐するということはないはず。ゲートウェイに仕掛けられたタイムトラベル機能とかいう時限爆弾が、木端微塵になったから作用しないだろう。


「……あ、そっか。わざわざ確定させる必要がないんだ」

『え?』

「1つ前までの世界は結局、互いに相転移エンジンを送り込むことになるからゲートウェイをジャンプさせて改変を重ねていたんだろ?でもこの世界線だと勝てるし、わざわざ今過去に送るだの送らないだの決めなくても良いだろ」


ゲートウェイは、最終的には過去に送らないといけない。そうしないとタイムパラドックスが起きる。だけどいつか未来で送ることだけを決めて、送り込まないことで世界が滅びないことの証明にすることも出来る。


……延々と延期されることになるだろうな。自分は送るつもりもないし、レイも理論を聞いたら納得してくれたし。何故か消える覚悟が決まっていた旧管理人やそれ以前の管理人達は不満気だったけど。


世界線を確定させるためにレイを送り込んだとして、どれほど差異が発生するか分からないなら今の不安定なままで良い。他の世界線は互いの宇宙に送り込んだ相転移エンジンの暴走で滅びている。そこからまた新しい何かが生まれて来る可能性もあるが、流石に自分達の方が優位だしこの世界線に影響を持つようになるのは早くても数十億年後とかそんなレベル。それなら現状維持で良い。


そして旧ゲートウェイの破壊から十数年後、自分はアラフィアに社長の座を譲ったが統治は安定しており特に反乱の兆しもない。まあ自分がまだ存命だからな。そして自分が死にたくない感情は持ち合わせているので、寿命を迎える前に電脳化して生き永らえるつもりである。それまでは気ままに隠居生活だな。


「……この小さいのが、宇宙?」

「1つの世界、と見ることも出来るな。結構自由に宇宙シミュレーション出来るしオリジナルの宇宙に近いことも可能だ。

……そこから色んな技術を抽出出来るようにもなったし、また色々とブレイクスルーしそう」


結局、最初の頃からずっと隣に居たフィアに対してポーンと丸い球を放り投げて渡すけど、中に入っているのは宇宙そのものである。相転移エンジンのコントロールに成功したため、こういう小さなカプセルに何個も新しい宇宙を創ることが出来るようになった。……暴走させなかったらマジで夢の技術であり、ここから資源の調達とかも出来る。


そのカプセル宇宙の中にいる自分に似た少年が、フィアに似た少女に出会う頃まで時を加速したので渡してみたのだが、中々に好評。フィアと一緒にその宇宙がどうなるのか観察したところ、ネルサイド協定に似た勢力に喧嘩売った辺りで暗殺されていた。今回は駄目だったか。


ラストの瞬間、自分に似た存在は自分達の方を見つめていた気がしたけど気のせいかな。そこには何もないはずなのに。……ふと何もないはずの上を見上げてみれば、自分達のことを見続けている、誰かの存在がいる気がした。




※あとがき

これにて「スペース炭鉱夫による成り上がり」は完結です。これまでたくさんのフォローや評価、応援コメントをありがとうございました。完結後の後書きですら使いまわしをする面倒くさがり屋がこの小説を完結させられたのは読者の皆様のおかげです。


このあと番外編として小話などを投稿するかもしれませんが、前に完結後のあとがきで同じようなことを書いて結局書いていないので、今後この作品が更新されるかは不明です。


次回作のアンケートや二次創作小説の紹介とかをやっているのでよろしければTwitter(X)のフォローお願いします。⇒https://twitter.com/instantnoumiso


改めて読者の皆様、ここまでの読了お疲れさまでした。最後に評価を付けて下さると非常に嬉しいです。また次回作や他の場で会えることを楽しみにしています。これまでありがとうございました。


次回作URL⇒https://kakuyomu.jp/works/16818093088271343924

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