第6話 映画・健康診断
学校に到着し、昇降口で紗夜と別れて教室に向かう。教室に入って友達と会話中の井上さんと目が合ったので軽く会釈した。自席に着席し読書していたら担任の山田先生が教室に入ってきた。
「よーし、ホームルームはじめるぞー!それじゃ秋月!号令よろしく!」
「起立。礼」
秋月の淡々としながらも力強い号令の後山田先生から今日の流れについて説明があった。男子はホームルーム終わり次第、視聴覚教室に移動し映画を観る。そして昼休憩の後、大教室で健康診断をするとのことだった。
ホームルームが終わり、視聴覚教室へ移動した。視聴覚教室は演壇を半円状に座席で囲まれていて国会議事堂の議場のような構造をしている。映画が始まるまで読書しようと思って本を開こうとしたら
「ねぇ」
「…‼?」誰かに声をかけられるとは思っていなかったからビックリした。振り向くと秋月だった。
「ごめんごめん。退屈だったから声かけちった」
「お、おう」
「柊ってゲーム好きなんでしょ。どんなのやってるの?」
「あー…狩りゲーみたいなみんなで協力するゲームが多いかな…」
「おっ!それってクリーチャーハンター?」秋月が前のめりになった。
「あっそれちょうどやってる。秋月も?」
「やってる!今度協力プレイしようぜ!」
「おっ。いいね!」
急に秋月に話しかけられて動揺したが同じゲームが好きな同志であることがわかり意気投合した。
映画が始まるまで秋月とずっとゲーム談義に華を咲かせていた。
映画が終わって昼休憩になった。午後は健康診断なので昼食はとらない。健診が始まるまでは自由時間とのことだったので秋月と教室に戻って、ゲームの話をしていた。秋月には幼馴染の彼女がいるらしく、彼女とクリーチャーハンターを一緒にプレイしているらしい。俺も紗夜と一緒にゲームするが、好きな女の子と彼女という関係になって一緒にゲームをしている秋月のことが羨ましかった。
昼休憩が終わりに近づいてきたからか、クラスメイトが徐々に戻ってきた。そして山田先生が教室に入ってきた。
「みんなそろってるかー?…大教室に移動するぞー!」
「もう昼休憩終わりか!また、時間の空いたときに話そう」秋月はそう言って自席に戻った。
健康診断はスムーズに終わった。身長は169cmから170.5cmまで伸びて嬉しかった。
教室に戻ると検診がいち早く終わって暇そうに自席にいる秋月に声をかけた。
「身長伸びた?」
秋月は少しムッとしてこちらを見た。
「167cmで中学の頃と変わってなかったよ。そっちは?」
「1.5cm伸びて170超えたわ」
秋月は「チクショー‼」と白目向いて机に突っ伏した。こいつリアクションおもしろいな。秋月は突っ伏したかと思いきやすぐに起き上がり
「身長のことはどうでもいいんだけどさ、柊今日の夜暇?今度と言わず今日ゲームしようぜ。」
「おおいいぞ」
「じゃあ連絡先交換しよう」
一緒にゲームする約束をして少し話していたら山田先生が教室に入ってきたので自席に戻った。
「今日はこれで下校だぞー。寄り道しないで帰れよー。秋月号令!」
「起立。礼」
「解散!」
山田先生の力強い解散で少しずつ生徒が教室から出ていく。俺も紗夜の教室に向かうべく、教室を後にした。紗夜のクラスはまだホームルーム中だったので廊下で待っていた。
「ねえ柊くん。」声をかけられて後ろを振り向くと井上さんがいた。
「あっ。井上さん、どうしたの?」
「ううん、たまたま見かけたから声を掛けただけ。柏森さん待ってるの?」
「うん」
「仲いいよね~!柊くんって柏森さんと付き合ってるの?」
少し動揺して言葉に詰まりながら
「…いや、付き合ってないよ」と答えた。
井上さんは一瞬なにかを見定めるような視線を向けたが「そうなんだ!中学の頃とかいつも一緒にいたからもう付き合ってるのかなって思っちゃった。」と笑顔で言った。
「…あっホームルーム終わったぽいよ。またね!」
井上さんはパタパタと昇降口の方へ向かって行った。
少ししたら教室から紗夜が出てきた。
「待った?」
「いやそんなに」
「なら良かった!帰ろう。」
もやもやした気持ちを抱えながら紗夜と「E.T」の話をしながら帰路についた。
気づけバカ‼ @ai_star
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。気づけバカ‼の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます