優しい極道
蒼梟
第1話 残酷な世界
「……わたしも学校に行きたいな…」
下校するすがたをみながらわたしはつぶやいていた。
わたしは9歳で普通の女の子。なのに、学校に行けてない。なぜかはわからない。でも、お父さんがダメっていったから。逆らったらころされちゃうんだって。じっさい、いつもなぐられてるし…お母さんもお父さんのいいなり。
「あ、せんたくものしないとおこられちゃう」
せんたくものをとりにいこうと立ったその時だった。
ガ チ ャ
「へ?」
玄関の方から音がした。帰ってくるはずないのに。誰だろう。
急いで玄関に行くとお父さんがにこにこしながら立っていた。
「え、あ、お、かえりなさい。おつかれさま、です。」
「ふふ。ただいま、茜。少し話があるんだ。リビングの椅子に座ってくれるかな?」
「で、でも、せんたくものが……」
「大丈夫だよ。もう、洗濯物をするひつようがない。」
「わ、わかった。すぐいくね。」
そういい、わたしは急いでせんたくものをおき、リビングへむかった。
……明らかにおかしい。えがおなんか見たことないのに…
「よし、話ってのはな、お母さんが死んだ。だから、もう、終わらせようと思ってな。家族ごっこも終わりだ。……次の日曜日に遊園地に連れてってやる。それまで、大人しく待っとけよ
。」
えがおで、しかし、あつをかけながら、お父さんはそういった。
……ころされる。直感的にそう思った。
にげなきゃ。このせかいから───
優しい極道 蒼梟 @Bule_owl
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