第三章を読み飛ばす方のためのスピード解説

第三章『我が主君、劉備』はかなり難解な文章となってしまいました。


〔小説本文〕https://kakuyomu.jp/works/16817330665296071072/episodes/16817330665302496206


これは史書を読んだことがない三国志ファンの方のために、なるべく短文で・正確な史実を描こうとしているからです。


しかし『正史(裴松之注)』からエピソードをそのまま引用している箇所が多いせいで、まるで歴史教科書のような文になってしまったこと申し訳なく思っています……。



第四章からまた小説らしい文体となりますので、初心者の方は第三章の読み飛ばしを推奨します。

いずれこの時代の全体がイメージできるようになってから復習として戻っていただければと思います。


ここに第三章を読み飛ばしてもストーリーが理解できるように、スピード解説を置いておきます。


ネタバレありますのでこれから第三章を読むつもりの方はご注意ください。



■第三章 かいつまんだストーリー


では第三章のあらすじ、現代の言葉でざっくり説明していきます。


1~3話:

「私」こと主人公がつかえることになった劉備りゅうびという人は、若い頃から超絶モテた人気者でした。

(フィクションの地味で大人しいイメージとは違って、お洒落しゃれでイケてるリーダーでしたよ、という人物紹介)

地元で若者たちのカリスマとなり目立っていたので、大金持ちの商人から出資を受けて世に出ることになりました。

かんの国で暴れていた「黄巾賊こうきんぞく」を抑えるための戦いで活躍した劉備は、各地で人に慕われ信頼されて、少しずつ出世しました。

実は本人は出世するのがちょっと嫌だったようです。でも大勢の人に説得され、ついに「徐州じょしゅう」という地域を治める地位をゆずり受けました。


2話:

同じ時代に曹操そうそうという人物がいて頭角を現し始めていました。

曹操は狙いをさだめた地域を住民ごと殲滅せんめつするというエグいやり方で、多くの地域を手中に収めていきました。

たとえば徐州という地域を曹操は住民を虐殺する目的で何度も攻撃。他の地域でも兵士と民間人の区別なく虐殺したり、捕虜は許さずに生き埋めにして惨殺するなど、残虐な行いで悪名を轟かせました。

(という史実の曹操を描いています。曹操の殺戮狂ぶりはフィクションも真っ青でした。現実で曹操がしたことはあまりにもエグいので、曹操を悪役として描いたエンタメ作品『演義』でさえ実話をカットしています)

そんな残虐な曹操が、当時少年だった皇帝を「守護する」という名目で傀儡かいらい(操り人形)としたことからさらなる悲劇が生まれます。


4話:

皇帝を傀儡として権力を独占した曹操は、好き放題の独裁を始めました。

自分にとって邪魔な人、自分の悪口を言った人などを殺し続けます。曹操に殺された被害者はたくさんいて、誰も正確な人数を記録できないほどだったといいます。

その地獄のような首都(仮)に劉備が滞在することになりました。

曹操から気に入られてヒイキされていた劉備ですが、朝廷ちょうていの悲惨な状況を見て胸を痛めます。特に操り人形となっている皇帝を憐れに想い、救出したいと考えていました。

ちょうどその頃、皇帝が密かに「曹操を殺せ」との命令を下し、曹操を殺す計画が立ち上がりました。

劉備もこの計画に参加し実行役を引き受けます。しかし曹操から出撃命令を受けて断ることができず、都を離れることになりました。


5話:

劉備の留守中、運悪く曹操を殺す計画は未然に発覚してしまいました。

計画に関わった人々は残らず曹操に殺されました。当然にその人々の親・子・妻、親族一同皆殺しとなりました。

(これは記録に残る大粛清事件です)

劉備は外に出ていたため殺害を免れましたが、さっそく曹操に宣戦布告しました。

「劉備が曹操へ反旗を翻した!」

このニュースは漢の国土を駆け巡り、民間での劉備の人気は爆発。劉備は一気にスターダムへ駆け上ります。

しかし曹操征伐のために劉備が手を結んだ袁紹えんしょうは、巨大な軍隊を持っていたのに曹操に敗北し滅ぼされました。

劉備陣営の実力は足りず、単独ではとうてい曹操にかないませんでした。このため劉備は同族の劉表りゅうひょうを頼り荊州けいしゅうの地へ逃れます。

こうして劉備は孔明の住む荊州に滞在することになりました。

曹操に敗北した後、劉備人気も衰えていましたが民は劉備の復活を信じて待っていました。……

(主人公の孔明が劉備と会うのはこの数年後のことです)



いかがだったでしょうか?

なんとなーく、劉備という人の前半生がつかめましたか。


「なんとなく」のイメージで大丈夫です。

第四章以降も難しいところはあると思いますが、小説として少しずつ史実・劉備のキャラが伝わるように描いていきますのでお付き合いいただければ幸いです。


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我傍に立つ【諸葛孔明 自伝風】 吉野圭 @yoshinokei1

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