第13話

 そして彼は人間から見れば神のような存在になった。


 地上にいる彼を知る者達は、何年も姿を見せない彼に対して、もう死んでる、まだ生きてダンジョンに潜っている、彼が死ぬわけがない、等噂し彼が帰還するのを待ち続けていた。


 彼が姿を見せなくなって10年も経つ頃には、彼は死んでしまったのだろうと皆が結論付け、組合でもダンジョン内での死亡ということで登録者死亡として彼の登録情報を処理した。




 彼はそんな地球の人々のことを忘れたかのように、新たな土地で日々強くなるために鍛錬していた。


 彼がダンジョン最奥で出会った何かは、彼より圧倒的に強いにも関わらず戦闘を生業とするものではなかった。


 ただの身体能力だけで彼の全てを凌駕するほどの強さを持っていただけ、新たな土地では戦闘を生業とする圧倒的強者に挑み、敗北し、動けるようになればまた挑む。


 そんな風に着々と力をつけていった。




 幾星霜の時が経ち、何が相手でも、何人相手でも負けること無く、おそらく神々の中でも最強といっても問題ない存在になった。


 そして彼は、「より強いものが現れたら起こしてくれ」と言い残し、深い眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

底を目指して ばつ @huannotane

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ